【セラピストの置かれている状況整理③ -キャリアは「35歳」が境界!?-】
どうも、リハコンの細川です。
前回、前々回に引き続いて、今回も現在の状況整理をしていきたいと思います。
まだ前回記事を見てない方は是非どうぞ。
これまで述べてきたように、理学療法士や作業療法士を取り巻く状況は目に見える形で変化してきています。
過去のロールモデルに従っていれば「安泰」という考え方は危険とも言えます。
そうした中、キャリアデザインを用いるなどキャリアを戦略的に考えていくことが益々求められてきています。
キャリアデザインは、自分のキャリアや職業人生について、経験やスキルなどを頼りに主体的に構想を練り「設計する=デザインする」ことを指して使われます。
高度成長経済時代には終身雇用制度などをはじめとするいわゆる「日本企業の三種の神器」を基盤にして成長してきた日本企業では、職業人生は個人が考えるものというよりも、会社側がその道を用意し、経営層の指示によって人材が配置され、それに伴ってキャリアが決まっていく色が強かったともいえます。
これは、理学療法士や作業療法士のような医療専門職に至っても同様です。
こうした考えに対し、国際競争が活発になるにつれて、職業人生が一つの企業に縛られず転職や兼業(複業)が機会として認められる欧米型のワークスタイルが知られるようになりました。
「キャリアは自分で作るもの」という考え方が浸透してきたのが現代です。キャリアデザインは、まさにこうした背景から生まれてきた言葉と言えます。
◆リハビリテーション関連職種のキャリアアップの指標
理学療法士・作業療法士のキャリアデザインに関しては、日本理学療法士協会が公開していた「リハビリテーション関連職種のキャリアアップ指標」(現在非公開)という指標があります。
これは理学療法士に限らず、リハビリテーション関連職種である点が重要であり、年齢(経験年数)により担う役割が記してあります。
この指標内にもあるように新卒から10年経った30歳以上のセラピストは臨床力に加えて「マネジメント力」が求められることがわかります。
「マネジメント力」についてのキャリアデザインは次回以降書いていきますが、下図の細川が提唱している「キャリアの四面体(画像が粗くて申し訳ないです・・・・)」については理解しておくといいでしょう。
こちらも次回以降書いていきます。
◆キャリアは「35歳」が岐路!?
また、キャリアに関連する論文として、理学療法士・作業療法士の給料にまつわる日下らの論文『理学療法士・作業療法士の給与総額とその規定要因について』では、
「理学療法士・作業療法士の年収を賃金構造基本統計調査に基づいて精査した結果,コメディカル間における年収の比較では,やや低位にあることが明らかになった。」とし、その理由として「相互に関連する教育システム」と「診療・介護報酬体系」と報告されています。
つまり、理学療法士や作業療法士はコメディカルの中では“看護に次いで大学卒の割合が少なく、昨今の老人医療費の高騰に伴い診療報酬・介護報酬点数の減点にあい、結果として給料がなかなかあがらない”ことを指しているものと推測できます。
さらに、この論文で注目したいのが、標準偏差の大きさです。
あきらかに「30-34歳」の層と「35歳-40歳」の層の間でバラつきが大きくなっています(「20-24歳:332±4」、「25-29歳:387±8」、「30-34歳:419±9」、「35-39歳:460±40」、「40-44歳:519±45」、「45-49歳:557±52」、「50-54歳:581±74」、「55-59歳:576±78」*単位は全て万円)。
これは、理学療法士や作業療法士が急増し、平均年齢が30歳と若く、34歳以下で管理職が少ないことが影響していることが推察されます。
35歳以上でばらつきが大きくなるという事実は、ここが一つの「境界」であるとも言えます。(もちろん言い切れない)
リハビリテーション関連職種のキャリアアップ指標に照らし合わせて考えると、「部門・組織のマネジメント」ができる総合職・管理職的な立場かそうでない立場かで組織内のキャリアアップ、ひいては給与面で少なからず影響があるとも予想できます。
こうした前提理解をした上で自らのキャリアデザインを構築することが賢明といえます。
では!
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