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「新野の雪まつり」~豊作祈願で夜通し舞い踊る!700年以上続く伝統文化~

こんにちはー!ふるさとLIFEキャンパス(さとキャン)メンバーのおいちゃんです。
さとキャンでは「地域やふるさと」をテーマとして、様々な活動を行っています。
その活動の一つとして、長野県のどこかを訪れ地域やふるさとを感じる体験を通じて気付きや繋がりを得ることが出来る「ふるさとtrip」を定期的に開催しています。
今回は、銀座NAGANOでのイベントを通じてご縁のあった南信州は下伊那郡に属する阿南町に行ってきました!

旅の目的は阿南町の中でも最南端に位置する新野地区で伝統的に行われている「新野の雪まつり」!
今回はコロナ明け3年ぶりの開催ということで地元の皆さんも大いに気合い入っていましたよー!

というわけで「そもそも新野の雪まつりって?」という話や、実際に行って感じたこと、「ふるさと」との関連性などについて早速お伝えしていきたいと思います!

「新野の雪まつり」とは

主に1月14日夕方から15日朝を中心に伊豆神社(下伊那郡阿南町新野)で開催される豊作予祝(よしゅく)を願った祭で、国の重要無形民俗文化財にも指定される、新野の伝統的なお祭りです。雪を豊年の予兆とみて大切に扱うところから「雪まつり」と呼ばれています。その起源は1265年頃とされており、日本の中でも指折りの歴史を持つお祭りだそう。

このお祭り最大の特徴は、昔から変わらぬ日付(毎年1/13~1/15)で夜通し行われることにあり、雪が降りしきる中で地域の皆さんが一体となって熱量高く様々な演目を行っていく姿を見ることが出来ます!
(あいにく今年は雪が降らなかったのですが、雪まつり当日に雪が降らないのは非常に珍しいことだそうです。そのくらい神様のパワーが漲っているのでしょうか…!?)

このお祭りを評する際には「寒い、眠い、煙い」と言われることもあるそうで、体力的にもかなりタフなお祭りとなっていますが笑、それでも多くの人が集うのは雪まつりには特別な魅力があるからなのでしょう!

雪まつりの大まかな流れ

1月13日に、伊豆神社の宝蔵に納められていた面形を諏訪神社へ運ぶ「お下り」が始まり、14日の深夜に伊豆神社に戻ってくるのですが、なんとそこから15日の朝(8~9時頃)までが雪まつりの本番とされています。

雪まつり本番では、伊豆神社神楽殿での舞、迫力満点の巨大な松明起こしとランジョー(大音量を出しながら神様を叩き起こす儀式笑)、巨大松明への点火の儀へと続いていきます。

その後、幸法(さいほう)と呼ばれる「歳神さま」(お正月に現れ、各家庭に幸せをもたらす神様)による2時間もの演目が始まり、その模倣の姿とされる茂登喜(もどき)、馬の姿をした競馬(きょうまん)、天狗(てんごう)など10を超える演目が続々と行なわれていきます。

厳かな空気が漂う深夜の神社の中で、笛や太鼓の音を夜通し鳴り響かせながら舞い続けるその空間は、さながら神話の世界飛び込んだような異世界感と地域の皆さんのリアルな熱量を感じられるとても素敵なものでした!


神様を叩き起こすランジョー。いよいよお祭り本番へ。

注目ポイント3選

沢山の魅力に溢れた雪まつりだったのですが、今回は「ふるさとtrip」という観点も入れながら、個人的にここ注目!と感じたポイントを3つに絞ってお伝えしていこうと思います!

①個性溢れる神様達を始めとした演目の数々

1点目は雪まつりの主役である演目の数々についてです!
まず第一に、真冬の深夜にも関わらず持ち時間が長い!おおよそ30分~2時間の持ち時間を持っており、その間ずっと舞いを続けています。ものすごい胆力ですよね。。
個人的に特に楽しく、感動もあった所は幸法、そして競馬の演目です!

幸法の演目では、建物への出入りを繰り返しながら9度に渡り踊る姿を見ることが出来ます。その中では、達磨や門松など各家の正月飾りが積み上げられた山を燃やす、「餅あぶり」という儀式がありとても迫力がある演目の一つです!(煙いと言われる所以の一つですね笑)
その他にも、子孫繁栄を願ったおまじないや大松明の火あおり等独特な演目を多数見ることが出来ます。

幸法の舞いのワンシーン


だるまや門松の山を燃やす幸法

競馬は、鈴をつけた馬に跨って舞を舞うことから見ていて迫力と華やかさを感じられます!競馬の見どころは途中、弓を引き矢を放つ所です。競馬の射った矢を拾うと1年健康に過ごせるといわれており、放った矢を勢い良く拾いに行ったお子さんがいたことも印象的でした!
去り際に鈴の音をけたたましく鳴らしながら退散する姿も迫力があり、印象に残っています。

2頭の背を向け合う競馬

※今回は「ふるさとtrip」というテーマもあり、各演目の詳しい説明/感想は割愛します。より詳しい情報はリンクを後述しているので参照していただければと思います。

②配役さえも前日に決める自由度の高いお祭りのスタイル

雪まつりでは配役決めもお祭りの中で行うんです、驚きですよね!!
幸法を始めとしたメインの神様達の配役については、前日13日のお昼に文字通り「御神籤(おみくじ)」という儀式で決定します。
その後は、ぶっつけ本番で舞う神様もいる為、一程度の修行/経験を積み認められた人達のみが「御神籤」に参加できるそうです。
長い持ち時間の中でしっかりと舞いを全うしている様子を見て「よく出来るなぁ」と率直に感服していました…!!

皆さんの努力はもちろんあると思うのですが、きっと緩さと温かさがあるからこそ、お祭りが成り立っているのではないか、とこの時感じました。お祭りは良い意味での緩さを常に持ち続けており、適宜周囲の人たちがガヤを入れながら演目が進んでいく様子が終始見られたので、この空間の雰囲気や見えない活力のようなものが、素晴らしい時間を演出しているように感じます。

地域に根差した伝統や馴染みのある土地、地域で繋がる深い関係性等色々な要素はあると思うのですが、こういったもの全てが雪まつりの温かな雰囲気を醸成し、演者の皆さんに力を与えているのではないか、と感じることが出来、伝統文化を通じた地域の可能性を更に感じるポイントとなりました。

③地域の皆さんのコミットメント

とにかく肌で「感じた」点として一番強いのは地域の皆さんの熱量です!
3年ぶりの開催かつ、今回は14,15日が土日だったことも重なり、都心で働いている出身者の方も地元に戻り雪まつりに参加している、という姿を目にしました。
夜通しの催しにも関わらず、最後の最後まで皆さん変わらぬ熱量を放出しているように感じられ、深夜に仮眠を取った身としては「どうしてこんなに熱量高いんだろ」と思わずにはいられない体験でした!笑

少し話を伺った所、「やはり3年ぶりに開催できたことが嬉しい」「みんなが集って盛り上がれるのが楽しい」「ついついテンション上がってしまう」といった声があり、雪まつりという伝統文化が地域やそこに関わる人達の繋がりを作り続けていることを改めて感じさせられると共に、そうして出来上がった空間から得られるエネルギーには素晴らしいものがあると強く感じることが出来ました。3年ぶりの開催という素晴らしい機会に立ち会うことが出来てとても貴重な経験だったなと、地域の皆さんを通じて感じています。

沢山の人が集い盛り上がり続ける雪まつりのワンシーン

さてさて、今回の記事では「ふるさと」を一つテーマとしている為、演目を絞ってご紹介していきました。
より深く知りたい!という方は、各演目の詳細、雪まつりの紹介動画を以下に記載しますのでこちらを参照ください。
演目詳細:https://deepjapan-niino.info/yukimatsuri
紹介動画:https://www.youtube.com/watch?v=fCmjBgWHKpQ&t=111s


<番外編>雪まつり参戦まで

ここで少し、雪まつり本番以外のお話を。
今回は14日の夕方に阿南町に到着し、宿泊先である「まるはち旅館」さんにて夕食や仮眠など雪まつりに向けた準備を整え、23時半頃に伊豆神社に向けて心して出陣するスケジュールで参加させていただきました!

まるはち旅館さんにおかれましては、旅館までの送迎や、雪まつりを踏まえお風呂をいつでも入れるようにして頂いたこと、食事の時間調整なども柔軟に行って頂き身体だけでなく、心温まるおもてなしをして頂きました。

また、今回訪れるきっかけにもなった銀座NAGANOでのイベントで出会った、金田さん親子にも大変お世話になりました!
金田さんは、阿南町・新野だら実行委員会の一員として新野の魅力の拡散や、伝統文化を活かした様々な活動の推進を親子で行っており、雪まつりでは寒さ対策に始まり、各演目の解説等々と夜通しお世話になりっぱなしでした。(父信夫さんは笛吹き役としても終日活躍されておりました)

こうした地域の方々の温かなご協力があるからこそ、都会から地域へと踏み込んでいくことが出来ると日々の活動で強く感じており、改めてご協力いただいた皆さまには感謝をお伝えしたいと思います!

<参考>銀座NAGANOでのイベント

「まるはち旅館」で頂いた贅沢な夕食はこちら。こういうのも旅の醍醐味ですよね?

「雪まつり」と「ふるさと」の関係性について

ここからは少し「雪まつり」と「ふるさと」の関係性についても触れていきたいと思います。
その場にいたからこそ感じることの出来た感覚として、「雪まつり」を通じて地元のみんなが集って夜通しワイワイしながら演目を行なっている姿を見て、地域の皆さんにとっての「ふるさと」の存在を強く感じました!

伝統文化として地域の人たちの心に根差す「雪まつり」の存在に加え、自然を象徴する「雪」や、馴染みのある街並み/神社の存在が地域の人々をどこか懐かしいような温かい気持ちにさせているのではないか、とその場にいると感じることができ、そうした様々な要素が組み合わさって、地域の絆が更に育まれていくのかなと皆さんの姿や伝わってくる熱量を通じて感じ取っていました。

また、「雪まつり」を行っている空間そのものが「ふるさと」だ!という不思議な感覚になったのですが、きっと「雪まつり」自体が、地域の人々にとって「ふるさと」の象徴のひとつと言えるんじゃないかなーと思っています。
今回はコロナの影響もあり一般の方の参加は難しかったのですが、こうした一体感や地域の方の熱い心遣いのようなものが地域外の人たちにとっても魅力に繋がり、多くの観光客を惹きつけているのではないかなと今回のふるさとtripを通じて肌で感じることが出来ました!

まとめ

今回も素敵なご縁からとても貴重な機会を頂くことができました!
あえて一言で感想をお伝えするならば、「みんなが一体となれる(自然となってしまう)ような催しが地域に根差して存在し続けているって素敵なことだな」ということが最も強く感じたことでした。
緩さも併せ持ちながら、あんなに皆が楽しそうに一体感を持って一つのことを完遂させられることってなかなかないことだと感じていて、さながら文化祭のような雰囲気だな、なんて思っていました!(700年の伝統に逆に失礼かもしれないのですが…笑)

来年以降も雪まつりは続いていきますし、夏には新野の盆踊りも開催されます!(こちらも直近ユネスコ無形文化遺産にも登録された新野名物祭りとなっています)
少しでも興味を持っていただいた皆さま、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?
さとキャンでは、「実際にいきたい!」という方のご相談もお受けしていますので、ぜひ検討してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!


幸法の巨像と共にパシャリ

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