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Cocozen始動! (3/3):キックオフイベントの開催、そしてこれから

「Cocozen〜それぞれの”ここ”から全体をよくする〜」は、それぞれが当事者として関われる場所("ここ")から、当事者にとっても社会全体にもとってもよりよい変化をもたらせるようなアプローチや取り組みを、試行し広げることを目的とするプロジェクトです。

このnoteではこれまで、「Cocozen始動!」と第して、プロジェクト立ち上げの背景や概要をお伝えしてきました。「Cocozen始動!」の最終回となる今回は、2022年10月13日に行われたキックオフディスカッションの様子についてご紹介します。

キックオフディスカッションの目的

今回のキックオフディスカッションは、具体的なリサーチや介入策検討が目的ではなく、因果ループ図とその分析結果を用いてターゲットとする社会構造の全体像を共有した上で議論する価値や可能性について探ることでした。

そこで、このテーマに関心や関わりのを持つ信頼する方々に声かけ、贅沢にもリアルで集まっていただき、3時間に渡るディスカッションを行ないました。

あったかくてクールで、ブリリアントなメンバーたち

私たちの声掛けに応え、都内某所に集まってくれたのは、こんな素敵な顔ぶれ。(改めてお忙しい中お集まりくださった皆さまに深謝…!!)

@真鍋薫子

集まったメンバーがどんな議論を交わしたかと言いますと...。あの3時間をシンプルな言葉で表現することなどできないけれど、現実の厳しさをヒリヒリと感じさせられながらも希望を抱かせる、それはそれは共感に満ちた、勇気づけられる時間でした。

当日の議論の様子と主なポイント

当日、因果ループ図に思い思いのコメントや議論のメモを貼り付けたものがこちら(因果ループ図を詳細にご覧になりたい方はこちらへどうぞ!)。

キックオフ当日のディスカッションのメモ

以下、議論が比較的集中した4つのポイントについて概要をご紹介します。

1. メインユーザーのジャーニーはなおざりにされていないか

子育て真っ最中のメンバーからは、「コロナで孤立が加速している」、「条件から少しでも外れると必要な支援が得られない。例えば、アレルギーがある子どもは預かる場所を見つけるのも大変」、「支援を受けたくても手続きが煩雑過ぎて使えない」、「頼みの綱のパートナーは常に多忙。一人で子育てを背負い孤独感も半端ではない」等の声(というより心の叫び…)が。

 支援策は存在するけれど、メインユーザーがアクセスしやすい形で設計されていないのだとすると、私たちの社会は、出産育児の当事者たちをサポートしているといえるのだろうか?
 
議論すればするほどそんな疑問が膨らんで、「一度メインユーザーを中心にジャーニーを書いて、子育て世代の体験を見える化してみよう」というアイディアが生まれました。

2. 育児中の方(特に女性)たちのセルフコンフィデンスを向上できる機会は作れないか

育児をしていなくても、周りで活躍している友人知人、あるいはSNS上の人たちが眩しく見えてしまいうことはままありますよね。特に育児をしていると子供との関係に閉じがちになり、社会に取り残されたような気持ちになるし、自分自身の成長が停滞しているように感じられたりもする。
 
子どもを産み育てることはそれ自体十分冒険なのに、特に女性においては、キャリアにおいてもサバイバルな状況になってしまう現実。育児中の期間にあっても、それぞれが自分らしく学んだり成長したりできる機会を、もっと気軽に得ることはできないのだろうか…。

リカレント教育というけれど、学び直し、というより学び続けられる社会づくりが必要なのではないか、そんな声も共感を集めました。

3. 男性育休、数字合わせがメインゴールになってない?

大いに盛り上がったのが、男性育休推進策について。男性の育児参加は歓迎すべきことだけれど、どうやら、育休によって男性の育児参加が必ずしも促されていない事例が、母親たちから次々と漏れ聞こえているそう。

企業側は育休を取得する男性の数を稼ぎたい。そこで、育休が取得可能な貴重な男性社員を見つけると、例えばその男性社員のパートナーが里帰り出産をされていて育児参加ができない場合であっても休暇を取らせ、男性社員は自宅で一人過ごしている...なんていうケース。あるいは、子どもが生まれても仕事がしたいのに「仕方なく」休暇を取っている例や、実は自宅でリモートワークしている例など…。

数値目標は大事だけれど、数値を目的化させずマインドセットをこそアップデートする必要がある。このあたりは私たちの社会が抱えるほんとーーーに根深い問題でもあり、根深いからこそ次の世代には持ち越したくない問題でもありますよね。

4. 60代以上の方たちに、もっともっと活躍してほしい

子どもを産み育て働く世代が、追われず追い込まれずに子どもを産み育て働くことを自然と望める社会にしていくためには、他の世代がより力を発揮できる豊かさを持つ社会にしていくこともまた必要です。特に今回多くの議論があったのは、60代以上の世代の活躍の場を広げること。

労働力がより健全に流動化して、必要な業界業種に、まだまだ体力のある成熟した世代が活躍できるようにすることで、経済性や提供価値を低くすることなく、若い世代もより望ましいバランスの中で力を発揮できるはず。

子育て世代のニーズとして顕在化している例をあげると、例えば、地域においては、ベビーシッターやちょっとした頼みごとを請け負ってもらえたらという声。あるいは、職場でも家事に育児に子育てにと忙しい世代のサポートにやりがいを見出してくれたらうれしい等、様々な声が聞かれました。
 
結局のところ、子どもを望み、産み育てやすい社会を築くためになすべきことは、子育て世代あるいは子どもたちのみが対象ではないんですよね。より広い視野でそれぞれの場所でそれぞれが力を発揮しやすい社会を構築していくことが、子どもを望み、産み育てやすい社会にすることの近道になることを実感させられる議論でした。

「全体像」を共有した上での議論の価値

これらの議論を通じて実感したのは、全体像を共有した上での議論の深まりの速さでした。因果ループ図により全体像を共有したために、社会構造の現状に対する仮説とそこに潜む課題感を共有できた。だから議論は「実感」や「実体験」から始めることができたし、場にそうした実感や実体験を共感を持って受け止める準備ができていた。

さらに、全体像が目の前にあるため、実感や実体験の話をしてもそれらが常に全体像とアクセスした状態になっており、個々の体験をいつでも全体の課題感として抽象化して捉え直すことができる

今回のキックオフディスカッションの目的は、前述のとおり、具体的な介入策検討ではなく、「ターゲットとする社会構造の全体像を、因果ループ図とその分析結果を用いて共有した上で議論することの価値や可能性について探る」ことでしたが、その意味で、大きな価値と可能性を実感する機会となりました。

Cocozenとこれから

あなたもぜひ、あなたの"ここ”から、Cocozenの輪に加わってください

今回のキックオフを経て、私たちの頭の中では、こうした「全体像」をベースに議論を展開したり個々の活動を見える化していくような企画の数々が、ムクムクと立ち上がっています。

具体的な企画はこれからですが、そんな妄想を形にしていきながら、今回集まってくれた皆さんを中心に、少しずつ対話の輪を広げていきたい。そんな風に考えています。

これを読んで共感してくださった方がいらしたら、ぜひ、何らかの形で私たちの活動にジョインしてください!一緒に、未来が少しでも子どもを産み育てたくなる──きっと誰にとってもより豊かで心躍るものにアップデートしていきましょう!

そんな未来への第一歩として、読者のみなさんの声を、ぜひ文中でご紹介した「出産・子育て世代を取り巻く社会構造」の因果ループ図上に残していただけばと、オープンなスペースを用意しました。
 
ご自身が感じていらっしゃる「今」を、ぜひ言葉にして残していただけるとうれしいです(2023年3月末までオープン予定)。

Cocozen Open Dialogue Board

それでは、いずれどこかでお目にかかれる日を楽しみに。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

文:佐竹麗


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