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また笑えるように泣いて、泣けてしまえばまた笑って。





書いては消して書いては消してを繰り返す。
頭の上で大きく渦巻いている煙に巻かれて気を取られていると足下にある小さな花たちを踏みつけそうになった。
瞬く間に煙に導かれた僕は知らぬ間にどんどん下へと降りて行って、気づいた時には花や鳥、樹々たちも誰もいなくなっていた。
そしてまた上を見上げると煙もいなくなっていた。
僕を囲むのは何も見えない、真っ暗な部屋。
こんな真っ黒を見たことはあっただろうか?
朝には太陽の光、夜には月の光、いつだって光に照らされていた僕は真っ黒というものを知らない。
目を閉じていても、花や鳥たちがいるのがわかる。
ここは何の音もなく、匂いもなく、ただただ真っ黒が広がっていた。まるで瞳の中をそこらじゅうに黒で塗られているようだ。奥へ入り込んでもどこへ行っても真っ黒なのだと想像するだけで震えが止まらなくなった。そう、僕は君を知らないんだ。
初めましての君に話してかけみてみた。
『どこから来たんだい?』
「...。」
『どこから来たんだい?』
「...。」
聞こえていないのか、もしかしたら眠っているのかもしれないとも思ったけどもう一度話してかけみた。
『おーい!』
「...。君が勝手に入ってきたんだろう。」
自分で話しかけておいてびっくりした。
同じ歳くらいの声色の君は小さな声でそう言った。
『そうだね、ここはどこだい?』
「見ての通り、暗闇さ。」
『暗闇?』
広がっていく声がどこから来たものなのか、感覚が麻痺してくる。
どうやら僕は"暗闇"と話しているようだ。





🥀







誰もいないところから、駆け上がってきた。
傷なんて歩いてればそのうち治るだろうって無視して、痛くて止まりそうになっても、『前を見ていること』が大切で、その場で止まることは許されないことだったから、負けたくない、負けちゃダメだってずっと駆り立ててた。怒りや嫉妬、悔しさも身に起きるマイナスな感情はどこにも吐き出さないように、その矛先は常に自分の中にあって、そして私自身もその矛から"自分を守ること"に必死だったように思う。
言葉を心の中にしまっておくとどんどん身体が重くなるのを感じた。このまま沈みたいと思った。
埋まっていく言葉たちと共に落ちて行けたら誰も傷つけることなく、わたしもその中に溶け込んで、そこで唄えたら、それが幸せで、また一緒に浮かんでこれたらそれもまた幸せで、沈んでみるのもいいなって。
やっと、わたしの居場所を見つけた。
始まりとともに終わりがあって、終わりを迎えればまた始まりを迎える。
そんな繰り返しの中を生きている。
また笑えるように泣いて、泣けてしまえばまた笑って。
暗闇、ありがとう。







Coco





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