不安定だからこそ唄うのかもしれない
ギター持って立って唄ってみた
どれだけ掌に、全身に力が入っていたのだろう
曝け出すことを恐れながら、握っていた
自分の言葉を、声を聴いてもらおうなんて
烏滸がましくて、痛々しくて、それでも伝えたかったのは
本当の自分を殺したくなかったから
こんなにも"簡単なこと"がわたしには難しかったのだと改めて感じた
触れるだけで音が出る、響いていく
大きな音だけがすべてではない
静かに灯しているその心を、声を乗せればいい
ゆっくり唄うことが、とても心地よくて
本当にこんな簡単なことがなぜできなかったのだろう?と思うのと同時にそれくらい目の前に必死だったのだと自分を抱きしめたくなった
どこかいつももう一人の自分がいる
『私はお前だよ』
倒さなくてはならない、怖いと思っていたそいつはそう残して消える
そんな夢を見た
人前に立つことがしたいわけではなくて、自分の言葉を表現するには唄しかなかった、その言葉だけが真実だった
だから"怖い"だなんて思う
どこにもやり場のない言葉たちは音にすることで吐き出せた
ライブというのは、今をいきている証になる
不安定だからこそ唄うのかもしれない
いつだって確かめたい
ここいるという実感を
『いきている』を感じたい
何もないところに点をつけることができる
ライブはいきている
見てきたものも感じてきたものも違うのに
泣けてしまうのはなぜだろうね
遥かな大きさの深淵に驚いて、それでもこうしてステージに立つ姿は強く逞しく、美しかった
輝いている、たしかに輝いているのだけど
それは誰もが心地いいと感じるようなやさしい光で
"灯している"のがわかる
光が強いほどみんなを引っ張っていけるのかといったらそうではない
何もかもを包み込めるのは光だけではない
幾千もの選択肢をわたしたちは日々選んでいて
目の前をチャンスが通り過ぎているのかもしれない
どこまでも続く暗闇を避けてここまで来れていたのかもしれない
そんなのわからないけど、少しでも近づくには自分をどうやって積み重ねていけるかでしかなくて
ゴールに着いたと思っても見えていたものが幻だったり、怖いと思っていたものが案外心地いいものだったりする
みんなはどうやって満たされていますか?
どうやって自分を満たしていますか?
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