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短歌 呼吸 十首

1
かさぶたを剥がし呼吸を止めるときにだけ生まれ変わりを信じる

2
首を振る扇風機のごと拒否権があるのかそうかもう泣きそうだ

3
角砂糖溶けてゆくのを待っているそのあいだにも燃え尽きる星

4
あめ玉を転がす舌に憧れた夏の日噛み砕いてしまった夢

5
オルゴールアレンジされた流行歌にスーパーの肉売り場で気づく

6
眠れずに夢を見る夢を夢見て明日生まれる予定のわたし

7
伸びすぎた爪を眺めて人生に爪切りは欠かせないと悟る

8
やがて空からマイクがポッと落ちてきて生きているってリサイタルする

9
チューインガムさっき聞こえた告白を知らんふりするためだけに吐く

10
背伸びせず化粧もせずに言ってみろ鏡に向かって生きているって

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