短歌　雨　十首

1
真っ黒な雲を呼んだのきみですか　高確率で僕は打たれる

2
紫陽花をひとつ手折って差し出せどそれは死体と言い捨てるきみ

3
鉛筆をナイフで削る音がするごめんなさいを言いそびれてる

4
雨降りも楽しいことと跳ねられる好きになるってそういうことだ

5
傘の花たちが街を彩ると曇天は優しいキャンバスとなる

6
みなもから音符があふれ歌になる雨も悪くないとポップスで

7
すれ違う人びとがみな握ってる一本の傘ひとつのいのち

8
高架下で雨宿りするふりをして告白するよちゃんと聞いてて

9
着メロがまだあった頃おそろいで「雨に唄えば」設定したね

10
水たまりだけを選んで歩く子のレインコートの泥も勲章