短歌 夏01 十首
幸せに順序をつける愚かさを
暑さのせいにする阿呆鴉
何もかも真夏になったせいにして
殺人鬼までプールではしゃぐ
水中に居場所があれば良かったな
地上に追われ干上がった恋
ターゲットロックオンした愛情に
満たされたってあられもないわ
鏡から私が私を睨んで
未遂アリスは暗闇で笑む
首筋に愛しい傷を見つけては
それをまつ毛に重ねるそぶり
さよならの代わりと言っちゃなんだけど
スキの真逆をあなたにあげる
夕凪によぎる予感はドルセラの
悪意に満ちた爪弾く小指
ファミレスで確かめ合った愛でした
裏切ることしかもうできなくて
チョコレートを溶かすその舌先を
支配したくて震える右手
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。