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短歌 迷子 十首


1
冷暗所で爪を噛んだおかげで孤独を辞書で引かなくて済む

2
おかしいな規則正しく生きてきた規則正しく生きてきたのに

3
生まれたらカウントダウンがはじまる「おめでとう」とは終わりの合図

4
だれだれがどこどこでなにをしていてもわたしのいとまはしぼまない

5
迷子にはなっていないと思うけどどこにも居場所がない夕まぐれ

6
悲しいね夏だね蝉が鳴いてるね去年と同じ蝉はいないね

7
アルバムのどこをめくっても出てくる笑顔のきみが過去形の夏

8
アボカドの種をお庭に植えました ちゃんと虚しくなれますように

9
甘いはずの砂糖をギュッと煮立てると追い詰められて苦(し)くなるね

10
大雨のあと虹がかかったとしても見上げなければ出会えないひと

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