短歌 寒い日 十首
雨降りを知らぬあなたのあどけなさ 守り抜けると信じた過日
心ない言葉には耳を貸さないでどうぞ私の歌に浸って
街路樹が見届ける秋 美しさは寒さのことと知っていたのか
青になり誰も渡らぬ交差点 もう歩けない 歩きたくない
救急車のサイレンにすら怯えてはやがてくる日を待ちわびている
穿たれた紅茶のシミに気を取られ君が泣くのに気づかなかった
「誰も皆」から外れた外された いっそこのまま祝福しよう
とんがらし 初恋の味 とんがらし 誰だカルピスなんて言ったの
身にしみる君の言葉とすきま風 つらくなるのは寒さのせいだ
冷えた手を温めるため息を吐く それがあなたに届けばいいな
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。