短歌 沈黙 十首
1
にんげんは黙るべきときくちびるをめだかのようにぱくぱくさせる
2
大切なものなんだけどみんなして黙って捨てるひとのやさしさ
3
待合の水槽に棲むグッピーは具合の悪い顔しか知らない
4
シューゲイザー? いいえスマホの虜たち情報過多の遭難者たち
5
凪がきたとたん泣き出すあの人はとても器用な生き方をする
6
カップ麺って結局美味しいし悲しいところも人生みたい
7
なんだまたヒットチャートが嘘ついたいつものことだ安心したよ
8
クリスマス、正月、節分、バレンタイン、ハロウィン過ぎてあれ、クリスマス?
9
もし過去を燃やせる炎があるのならすぐに119番通報せよ
10
死にますかええ死にますよそうですかならば予定を教えてくださ
よくぞここまで辿りついてくれた。嬉しいです。