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短歌 霜月 十首

1
心にも花が咲くとはいうけれど根を張る場所を誰も知らない

2
踏切の赤いランプが明滅に溺れるたびに仔猫がよぎる

3
桜などモブでしかない霜月の街路にひとり佇む天使

4
そのままのあなたでいいと言われてもトゲが刺さったままでは嫌だ

5
信じれば信じるほどに真実にかかるモザイクはなぜ濃くなる

6
かがやきは照明係が物陰で耐えているからと心得よ

7
翼なら倉庫の中よ(なぜかしら手に入れたなら不要になるね)

8
落ち葉からくしゃりと声が聞こえたらすぐその角できみかくれんぼ

9
ばらばらになった写真を繋いでも裂いた事実は消えてくれない

10
ポケットの中にはビスケットがひとつ叩いてみたなら虚しくなれる

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