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【短歌】操車場にオレンジ色の孤独たち発車できるとまだ信じてる

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心のままに詠んでみました。ベクトルを定めないスタイルで綴ります。
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2019年9月の記事一覧

短歌 悲観 十首

短歌 悲観 十首

1
こめかみがなんか痛むと思ったら背後で君が微笑んでいた

2
低気圧のせいにしようかなにもかも しばらく歩き出せそうにない

3
黒猫が忌み嫌われているように私が居ると薔薇も枯れます

4
苦しみをほどくことだけ考えて信じた先がバファリンだとは

5
楽しみをとっておく派で生きてきて最期に何を感じるだろう

6
電極に繋がれている神経はたぶん私のものじゃないから

7

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短歌 枯葉 十首

短歌 枯葉 十首

1
枯れるなら私と同じプラタナス 踏めばくしゃりと潰れて消える

2
すすきの穂こちらを向いて垂れている そうだ私もそうなんだった

3
宝箱の中にいれたはずの日々 いつのまに忘れ物になったの

4
ラブレター渡せなかった思いごと秋の斜陽よ連れてってくれ

5
雨が降る 枯葉が落ちる 陽が逃げる ぼくの何かが決壊してく

6
「こうすれば楽になれます」マニュアルが人を苦しめることを

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短歌 妖精 十首

短歌 妖精 十首


番号の中に私の誕生日が隠れてるからスマホごと好き

2
「嫌いだ」と口に出せれば大丈夫 その素直さで生きのびてゆけ

3
石ころは磨けば光るわけじゃない 輝きなんてただの傷あと

4
行列のできる店です みんなして腹を空かせて羊を屠る

5
もう名前が変わったらしい母校から物故者として封書が届く

6
負いたての傷がこちらをにらみつけ俺のせいにはしてくれるなと

7

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短歌 羽 十首

短歌 羽 十首


くちびるに雨粒を受け私いまきっと天使とキスを交わした


ラジオからノイズ混じりのI love you. を君からの遺言として聴く


無罪です 君は確かに無罪です 誰も無実とは言っていない

4
死んだあと楽するためににこやかに生きているひと死んでゆくひと

5
レールから外れられたら気がついた そこにはそこで道があること

6
(化け物は殺しても良い 駆逐せよ)許可を与えるだ

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短歌 恋 十一首

短歌 恋 十一首

1
解像度低めの心携えて行けるところまで行くのが恋

2
スコールのあとにあなたが降ってきて少しもできない共感が恋

3
恋のせい ヘッドフォンから洩れ聞こえてきた君の声を遺書にした

4
手のひらに人を何回書いたって喉を通りっこないから恋

5
もぎられた半券なしに生きられぬ ただの言い訳にすぎない恋

6
抗えぬ衝動に似て自由帳から自由が消えるゆえに恋

7
大人買いしてみたかった君のこと

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短歌 ひとり 十首

短歌 ひとり 十首

1
言い訳を考えてたら朝が来てああこれだなと太陽を蹴る

2
光あるところの影が私です 必要悪と呼んでください

3
パソコンで「じしょう」と打つと「自らを笑う」と化ける我のスペック

4
事件簿に載らない私の喜劇にもちろん千秋楽なんてない

5
人間が美しいとは意外です 悲しいだけかと思ってました

6
真実を告げぬニュースキャスターの顔にナイフとフォークをあてる

7
苛立

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短歌 灰 十首

短歌 灰 十首

1
我もまた少女だったというひとの思い出に載る灰のアルバム

2
悲しいと爪を噛む癖を叱ってくれたあなたの影を踏んでた

3
その人が絶対であり神であり愚者であったと気づくのが恋

4
大切を大切にして大切に抱えていたらグレーになった

5
もう一つ穴を穿った右耳に堕ちた彗星を下げて生きろ

6
とりあえず死なないでおく連続で今日の今日まで生きてきました

7
輝きを強制されて

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