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新しい窓をひらくとき

心地よい朝です。新しい自室の窓からは、ひんやりした秋風がそよぎそよぎ顔を見せてくれています。
みなさんは、いかがお過ごしでしょうか?

こんにちは。このたび関東の港町から、東海の街外れへと引っ越してまいりました。具体的には、横浜市から名古屋市の端っこへという感じです。

引っ越して、ちょうどひと月が経ちます。
引越しはどうだったかって? そりゃあ、いまからひと月前の、猛暑の中を想像してみてください。大変でした。あの猛暑の中で、エアコンが4日も遅れて設置になったのです。すっかり熱中症気味になってふらふらでした。寝込みはしなかったですが、真夏の引越しは二度とやりたくないですね。
おかげさまで、引越しから早くもひと月が経過し、体力的にも精神的にも落ち着きを取り戻すことができました。そしてこのエッセイを穏やかに書き始めることができました。意外に暑さにへこたれなかった自分を褒めたいし、一緒に頑張ってくれた家族、応援してくれた親族・友人に感謝したいです。

さて、いまは書斎と言いますか、新しい我が家の自室でこれを書いています。思えば、身も心も解放された気分です。なぜって、以前の自宅には間取り的に自室がなかったんです。二畳ほどの納戸を無理やり自室にして、それはそれは穴ぐらのようで集中できて面白がっていましたが、エアコンも窓もなく「こもる」という言葉がピッタリの空間だったからです。だから、いまは開放感いっぱいです。エアコンもつくし、窓まであるちゃんとした居室ですから。
転居に向けて、自室を持つことが一番の願いでした。安心して一人時間を過ごせる。実際に、それがあるだけで毎日の生活がゆったりして感じられ、イライラやギスギスがなくなりました。毎日の生活を丁寧に、ゆとりを持って過ごすことができる。自分のテリトリーがあるというのは、生きていく上で非常に大事です。

さて、転居してひと月が経ちました。この半年は先行きが見えなくて気分の落ち込みがひどくて、前向きになれない足踏みの精神状態でした。何もする気が起きなくて、心が乱れていました。だから自分を甘やかしていた。「もう何もしなくていい。ただ時間が過ぎるのを待ちなさい」そう自ら命じ、ただただ心が落ち着くときを待つ日々でした。そういうときもあります。そして、転居が済んでひと月、心が落ち着き、ようやく新日常が動き始めました。

このタイミングで、私は棚上げにしていた自分の夢をいま一度自分に降下させる必要を感じました。というのも、引越しが決まった今年の5月は、卒業を目標に福祉系大学への門をくぐったばかりだったからでした。
それ以前の私は英語や数学などの中学生や高校生の参考書を使って学び直しに力を入れていました。その先には、大学で学び直したいという思いがありました。そして、その5年越しの願いを叶え、今年の春に晴れて大学の門をくぐったのでした。

なぜいま学び直しなのか。悪あがきですよね。いまからやり直すって。学ぶってお金も時間もかかります。そんなわがままはなかなか許されるものじゃないですよね。やり直せるものなら、やり直したいと願う人は少なくない。でもなかなか立場や環境がそれを許さないものです。

私が、学び直しを決意した動機は、やはりちょっと常識的ではないかもしれません。私は45歳にして、自分が空っぽであることに気づいたのです。記憶が空っぽ。知識が空っぽ。そういうと大袈裟になりますが、それに近い感覚を無性に感じるようになりました。それは私が30歳のときに具合を悪くして精神科病院に入院したときが原因かもしれません。
私には、健忘症のような気分があるのです。およそ30歳を境に記憶の障害が起きていると感じることが頻繁にあります。まず、それ以前のエピソードを断片的にしか語ることができない。思い浮かばない。感情面の動きは覚えていても、誰がいつどうしたということはほとんどエピソードにならない。

それから、私には発達障害があるのを感じるのだけれど、それがこの歳になってゆるゆる変わり始め、発達機能が回復してきたのを感じています。自分がどんどん変わってゆくのを感じるのです。引きこもってで超内気だった自分の内面が、コミュニケーション好きのタイプへと少しずつ成長しているのを感じます。自分の発芽を感じるというと、ちょっと詩的かもしれません。そんな感覚です。

私は感じます。春だ、と。
独り合点かもしれませんが、 ほんとうに春ならば、どうする? 自分に問いました。私は決めました。いまから始めようと。

さいわいというか、子どもを授かることにあきらめを感じていた時期でした。出産や子育てという時間的、経済的制約から解放された未来を感じました。そして動機のもう一つは、この時期に障害年金の5年間の受給が決まったことでした。とりあえず5年の経済的猶予を与えられたと私は思いました。

このとき私は、社会から5年の時間的経済的支援を受けたと考えました。じゃあ、どうする? 私はまた自問しました。そうして大学の門を叩きました。

あの春から早くも半年がすぎ、いまは秋。引越しによって勉強に集中できる空間も得たし、なかなか良い波が来ているのを感じます。

さあ、新しい窓をひらいて、折々の風を迎え入れよう!

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