2022年8月24日
今日のココ日(ココルーム日記)
ひと月ほど前、釜芸のバザーにやってきた二体のドール。
見る人が見たら「いいもん」と分かるらしいが、しばらくの間売れずにいた。
時には帽子が行方不明になり、時には一体が無料コーナーに入っていたりと、その都度ピンチはあったが、スタッフたちのケアもあり、二体はこの一ヶ月仲良く揃ってバザーの箱に入っていた。
昨日の夜、閉店作業中に店先からスタッフしょうゆちゃんの声が聞こえてきた。
誰かに話しかけているようだが、他に人は見えない。
僕は少し気にしながらも片付けを続けていると、しょうゆちゃんがドールが入ったバザー箱を抱えて店内に入ってきた。
しょうゆちゃんは、ドールたちに「いつまでここにいないといけないんだろうね。大変だね。暑いよね。早く誰かもらってくれたら良いのにね」と優しく語りかけていた。
それはまるでドールたちへのララバイみたいで、僕はその光景を見てなんだかとても癒された。
明けて今日。
夕方ひと組のカップルがバザーにやってきた。
対応に出ていったゲンちゃんが何やら興奮した様子で店内に戻ってくる。
「あの人たち人形買ってくれるってー!」
「えー!」
僕も思わず声を上げた。
「すごく可愛いなぁと思って」
カップルは言う。
「この子たち、ずっと一緒にいたんですよ。大事にしてあげてください」とゲンちゃんが声をかける。
「じゃあ名前つけようか?」
カップルはそう言いながら嬉しそうに帰っていった。
「これでしょうゆちゃんもひと安心だね」
僕はゲンちゃんにそう言いながら、もうあのララバイが聞けなくなったことを少し寂しく思った。
(書いた人:テンギョー)
現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています