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2022年3月12日

今日のココ日(ココルーム日記)
九州から釜ヶ崎へやって来て日雇い労働者として生きてきた坂下さん。
その独特の語りがなんとも味わい深く、聞く人の心をとらえて離さない。
谷川俊太郎さん主演の映画「谷川さん、詩をひとつ作ってください。」にも出演して”坂下節“を炸裂させている。
釜ヶ崎芸術大学のゲストハウスには、美術家の森村泰昌さんがプロデュースしたスペシャルツインルームがあるが、ココルーム代表・假奈代さんの希望で、森村さんと坂下さんとのコラボで部屋のテーマが作られた。
部屋の壁三面は森村さんのポスターで埋め尽くされていて、残りの一面は坂下語録とでも言うようなコトバの数々が書になって飾られている。
それらは假奈代さんが大切に書き溜めていた坂下さんの珠玉の表現集。
「今度は オスのカバと メスのカバの 水しぶきをあげながらの ラブシーンを またみてみたい」というユニークなものから(天王寺動物園で見た光景が脳裏に焼き付いているらしい)、「一九七三年、ぼくが愛して女房になってくれた女性の名前がいくよさん いっしょに住んだのは一千夜も満たなかっただろう」という美しくも切ないものまで(いくよさんの写真を今も部屋に飾っているとのこと)坂下ワールドが全開で繰り広げられた空間になっている。
坂下さんは、釜芸のプロトタイプのような形になった2011年実施のワークショップシリーズ全9回に「告知のチラシを渡してくれた人がベッピンさんだったから」という理由で皆勤し、「酒は薬でやめるもんやない。人生の楽しみでやめるんや」という名言を残して、翌2012年の釜芸の正式な開校のきっかけのひとつになったココルームと縁深い人だ。
今日たまたま日展鑑賞の帰りに釜ヶ崎芸術大学に寄ってくれた坂下さんを誘って、一緒にスペシャルツインルームを見学してみた。
展示されている自分の言葉と向き合いながら、坂下さんはこれまでの記憶の中の出来事を思い描いているかのようだった。
「この先の人生で出会う美しい出来事に感謝するために、人は時に過去を振り返らなければならない」
そんな言葉が聞こえてきそうな佇まいだった。
もしかして本人は今まで出会ってきた数々のベッピンさんを思い出していただけかもしれないけれど。
坂下さん、今日は素敵な時間をありがとうございました。
これからも元気でいてください。
(書いた人:テンギョー)

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現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています