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2022年4月18日

今日のココ日(ココルーム日記)

今日は釜芸の合作俳句の日。

釜ヶ崎のオッチャンたちに人気の老舗講座だ。

午後2時のテラスに釜芸おなじみの顔が集まり始めた。

合作俳句は句のテーマこそあれ、上の句・中の句・下の句を別々の3人で出来るだけ自由に無責任に繋いでいく。

なので出来上がるのは大抵がとてつもなくナンセンスな一句になるのだが、この講座の肝は「自分の句を必ず褒めてもらえる」こと。

例えどんなに駄作?であったとしても、自分が指名した人に自分が下の句を作って仕上げた作品を全力で絶賛してもらえる。

言い換えると、全員必ず誰かの句を褒めなければいけない。

これは俳句の講師の一人である臨床哲学プレイヤー・西川勝さんの言葉だが、「ここが悪い、あそこが駄目だ、なんて批判的なことは誰だって言える。世界中の人がダメ出しをするような作品であっても、自分だけはこの作品をなにがなんでも褒めたたえてやるんだと。そこにありとあらゆる知性が必要とされる。」

講座の中で繰り広げられる褒めの技法はまさに十人十色。

ひたすら感嘆の声を上げる人もいれば、ただただその人が詠んだ句を繰り返しちゃう人もいる。

合作で生まれる句もナンセンスなら、無理矢理美辞麗句を並べて褒めちぎる様もナンセンス。

その必死さが会場に昂揚感と共に寛容性を醸し出し、釜芸運営サポートメンバーの言葉を借りるなら、合作俳句の時間は「みんなものすごく良い顔をしている。」

今日の褒め方で場が一番沸いたのは、レギュラーメンバーの一人が「素晴らしすぎて、もう言葉にできません!言葉にならないからあなたにこれ上げます!」とぼた餅を差し出した時。

あまりの力技に全員笑うしかなかった。

僕が印象に残ったのは、俳句講座のもう一人の講師、認定心理士で脳性麻痺の俳人・高木智志さんが下の句を書いて完成させた一句。

「塗ったろか 道に寝転ぶ 春の人」

釜芸の講座らしい、オッチャンたちの自由さに頭と心が刺激された楽しいひとときだった。

(書いた人:テンギョー)

現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています