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Q5. 話が通じない人と分かりあう必要はありますか?

猪瀬浩平(文化人類学者)
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ココルームは問い、問われる Q&A 16
「働くこと」「生きること」「表現すること」の悩み

『釜ヶ崎で表現の場をつくる喫茶店、ココルーム』(フィルムアート社)
https://cocoroom.base.ec/items/7575462

 2003年から17年間、釜ヶ崎で出会いと表現の場を開いてきたココルームには、なぜか毎日のように悩み事や困り事が持ち込まれます。「働くこと」「生きること」「表現すること」からくる多くの悩みや問いです。仕事に悩む若者、家出人、アルコール依存や精神疾患を抱える人、難民など、さまざまな困難を抱えた人が来るため、持ち込まれる問いも幅広い。お金がない、仕事はないか、住む部屋はないか、家出人を探して、といった具体的なことから、働き方について、社会は変えられるのかといった疑問、孤独や生きづらさを持ちながら現実を生きのびるための方法論、自分も活動を始めたいが、どうすればいいかという相談まで、人生をまるっと問われる。
その問いを、ココルームに関わる人たちに投げてみた。そのやりとりを本にしました。
 この問いと答えは、きっと、もしかしたら、危機的な状況を生きのびる知恵と技とも言えるかもしれません。いま、あらためて多くの人に届けたい。その思いを伝えると、執筆者のみなさんが朗読に協力してくれました。勇気をもって迎える朝に、家で過ごす長い時間に、そしてあしたがくる前に、彼ら・彼女たちのこえとことばに耳を傾けてみてください。
 西川勝、坂上香、岸井大輔、猪瀬浩平、倉田めば、松本裕文、アサダワタル、 山田創平、劔樹人、岩橋由莉、鈴木一郎太、甲斐賢治、横山千秋、上田假奈代のこえとことばをお届けします。
 5つ目の問いに答えるのは、文化人類学者の猪瀬浩平さん。明治学院大学の教員として学生たちをココルームへ派遣し、新たな世界との接触機会を積極的に提供したり、ご自身も福祉農園の現場と向き合い続ける猪瀬さんは、この問いにどのように答えるのでしょうか?

Q5 話が通じない人と分かりあう必要はありますか?

A5 猪瀬浩平(文化人類学者)

猪瀬浩平(いのせ こうへい)
1978年、現さいたま市出身。学生時代から、埼玉県の見沼田んぼ福祉農園で活動を始める。行政との関係に苦しめられた経験をココルームと共有し、交流を重ねる。2008年からは明治学院大学のボランティア学の教員として、毎年夏の半月かけて見沼田んぼ、郡上八幡、釜ヶ崎を旅するプログラム「Go West」を学生と一緒に実施。文化人類学者として、足元埼玉から世の中を考えている。著書に『分解者たち―見沼田んぼのほとりを生きる』(生活書院)、『岩波ブックレット ボランティアってなんだっけ?』(岩波書店)など。

猪瀬さんの答え、その他の問い、上田假奈代がココルームをはじめるまでの半生、詩人の谷川俊太郎さん、哲学者の鷲田清一さん、美術家の森村泰昌さんと上田との対談3本など、読み応えのある書籍『釜ヶ崎で表現の場をつくる喫茶店、ココルーム』(フィルムアート社)は、こちらでお楽しみいただけます。また、書籍の購入がココルームへの支援になります。ぜひ手にとって読んでみてください。
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ココルームは、今ピンチに直面しています。カフェ業と宿泊業の売上が活動の基盤を支えていましたが、新型コロナウイルスの影響で95%の減収です。今日と未来のために新しいであい方をさがしたい、仕事や住まいを失うなど、困った方と力をあわせたい、生きのびる知恵と技をこの街から発信したい。こうした思いから、現在ココルームはクラウドファンディングを実施中です。であいと表現の場を開きつづけていくために、みなさんのご協力をどうぞよろしくお願いします。
https://motion-gallery.net/projects/cocoroom2020

ココルームではみなさんからのご支援をさまざまなかたちで募っています。ふところに余裕のある方は、ご寄付いただけるとうれしいです。
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また、こちらの音声配信へのサポートもお待ちしています。

現在、ココルームはピンチに直面しています。ゲストハウスとカフェのふりをして、であいと表現の場を開いてきましたが、活動の経営基盤の宿泊業はほぼキャンセル。カフェのお客さんもぐんと減って95%の減収です。こえとことばとこころの部屋を開きつづけたい。お気持ち、サポートをお願いしています