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流産・死産を経験した人へ~相談窓口やコミュニティ~
不妊治療を乗り越え、妊娠できたとしたら、無事に赤ちゃんが産まれることは当たり前のように感じられるかもしれません。
しかし、実際は奇跡の連続です。
悲しいことに、流産や死産により赤ちゃんが亡くなってしまうケースもあります。
一回の妊娠における流産の頻度は平均的には15%で、加齢とともに増加し、特に40歳以上では妊娠の約半数が流産します。1)
また、 死産率は 20.1(1000人の人口集団の中での発生比率)で、令和2年の死産数は1万7278胎でした。2)
流産や死産を経験された方々の悲しみは計り知れません。
この記事では、流産や死産を経験した方のためのグリーフケアや、支援を行っている窓口、団体を紹介します。
流産や死産を経験し、悲しい気持ちを抱えている人や悩みがある人は、ぜひ然るべき相談先を頼ってください。
グリーフケアとは
近年、「グリーフケア」という言葉に注目が集まりつつあります。
グリーフとは「悲しみ」「悲嘆」などを表す言葉です。
大切な何かを喪失して、悲しみを感じることはごく普通のこと。
流産や死産によって大切な家族を失ってしまう経験には、ごく自然に大きな悲しみが生じます。そんな悲しみに寄り添うケアを「グリーフケア」と呼びます。
悲しみを抱えた方へ 国や自治体の窓口
悲しみを抱えた方が孤立することが無いように、国や自治体は窓口を設置しています。
流産や死産を経験した女性への心理的な支援を行っている公的な団体を紹介します。
市区町村で活用できる事業には、以下のようなものがあります。3)
子育て世代包括支援センター事業
子育て世代包括支援センターは「子育て」と冒頭についていますが、その支援対象者には、流産や死産を経験 した女性も対象に含まれます。
具体的な活動は各自治体により異なりますが、妊娠期から産後、長期的には子育て中の過程を保健師が自宅訪問等で見守るサービスです。流産や死産を経験された方々には、メンタル面や体調面の継続的なケアを自宅訪問で行うケースがある他、SNSを通して相談窓口を設置しているケースもあり対応は様々です。
電話で対応している場合もありますのでご自身の自治体に問い合わせてみてください。
【全国センター一覧】
https://www.pref.chiba.lg.jp/jika/boshi/documents/kosodatehokatsu-ichiran.pdf
![](https://assets.st-note.com/img/1670475413339-A5ZLB0aRRM.jpg?width=1200)
産後ケア事業
「出産後一年を経過 しない女子及び乳児」が対象とされています。こちらの事業も産後に心身の不調を抱える流産や死産を経験した女性も対象に含まれます。
流産や死産も出産であることに変わりありません。ご自身の体調を労わるためにショートステイやデイサービスなど、心身ともに休める場所(クリニックや病院)を提供していることもあります。
心理的支援も行っているので、ご利用の際は自治体にご相談ください。
【各自治体のケア事例】
https://www.mhlw.go.jp/content/000815654.pdf
産婦健康診査事業
2022年5月に産婦健診費用の補助について流産・死産を経験された方も利用できる旨、厚生労働省から改めて各自治体へ確認が行われました。
身体的・精神的に不安なことがあれば健診時に相談してみてください。(健診回数や補助金額は自治体により異なります)
次に、都道府県、政令市、中核市で活用できる事業として、以下をご紹介します。2)
不妊専門相談センター事業
不妊専門相談センター内に設置された不育症相談窓口においては、 流産や死産を繰り返す苦しみ等に関する心理的な相談を含め不育症に関する相談対応、不育症治療に関する普及啓発及び研修等が行われています。
センターで対応するスタッフは不妊相談を行う専門相談員として研修を受けた方々です。
電話での相談やメールでの相談が可能な自治体もあります。
【不妊専門相談センター一覧】
https://www.mhlw.go.jp/content/000954166.pdf
各地域のホームページにはセンターの事業内容や、窓口の対応時間などが紹介されていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
直接訪問しなくても、電話やメールで相談を受け付けているセンターもありますので、少しでも辛いと感じた時、誰かに聞いてもらいたいと思ったときなど活用ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1670475389310-dW5qu4xZ4W.jpg?width=1200)
気持ちを共有するコミュニティ
公的な支援も上記のように沢山ありますが、NPO法人や個人が立ち上げたコミュニティもあります。以下に一部の団体をご紹介します。
NPO法人「SIDS家族の会」
SIDSやその他の病気、また死産や流産で赤ちゃんを亡くした両親を、精神的な面から援助するためのボランティアグループです。子供を亡くした親自身によって運営されており、その活動の主旨を理解していただける医療関係者の方々で支援されている方もいます。
20年近い歴史のあるNPO法人。電話相談を受けているほか、各都道府県でミーティングと呼ばれる座談会を開催しています。悩みや辛い気持ちを同じ経験者に話したいとき、アクセスしてみてください。
「ポコズママの会」
突然に赤ちゃんとの別れを体験した方々をサポートし合うコミュニティです。
流産・死産(人工死産)・子宮外妊娠・胞状奇胎・新生児死などの理由により、小さなお子様を亡くされたご家族同士の相互支援を目的として活動している非営利任意団体です。
赤ちゃんを亡くされたご家族向けに「ポコズカフェ」という少人数でのお話会を開催しています。パートナーの方、ご両親、友人なども一緒に参加できます。
「iKizuku」
働きながら流産死産を経験された方を中心としたピアサポートグループ(自助グループ)です。当事者同士が支えあえる座談会を開催したり、働きながら流産死産を経験したママ・パパが持つ課題について、社会にむけて情報発信されています。
「働く天使ママ」というTwitterのハッシュタグがきっかけで立ち上がりました。活動の中には「働く天使パパ」へのインタビューなどもあり、パートナー側の気持ちにも寄り添っています。
「天使の保護者ルカの会」
聖路加国際大学の研究センターPCC(People Centered Care)事業の一環として流産や死産を体験者した方と医療者(助産師、臨床心理士、社会福祉士など)が共に手を組み、双方の視点を活かして運営を行っています。
亡くなったお子様への想いや悩みを体験者同士で語り合うお話会や、お子様へのプレゼントや思い出の品を手作りする各種イベントが開催されています。
また、個別のカウンセリングも行われています。
「天使がくれた出会いネットワーク」
流産・死産・新生児死亡などで子どもを亡くした家族のための自助グループを結ぶ、ネットワークサイトです。こちらのサイトでは各地域にある団体や自助グループがまとめて紹介されており、リンクで飛べるようになっています。
現在、14団体が参加し、交流や情報交換をしています。
まとめ
赤ちゃんとのお別れは、一人で抱えるには大きすぎる悲しみです。
行き詰ったときや悲しいときには、このような選択肢があることを頭の片隅に置いておいてください。
気持ちを共有したり、辛さを吐露することで、悲しみが和らぐことを祈っています。
1)http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa23.html
2)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei20/dl/15_all.pdf
3)https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000793149.pdf
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