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労働者の権利について思うこと

現代社会で生きていくうえで、権利と義務の縛りからは逃れられないものなんだと思います。

つまりその、何か権利を行使するならそれ相応の義務が発生する…そういうことなんだとつくづく思うわけです。

ベネフィットを享受するなら、それ相応の何かを差し出す必要がある、とも言えます。

ギブアンドテイク、とも言いますね。

例えば、世界じゅうで通用する日本人パスポートを所持することの恩恵を受けたいのであれば、日本国籍を維持するのは当然として、収入に応じて税金や社会保険料の賦課を負いますよね。そのとき、日本人パスポートのパワーを享受しつつ、日本国を批判して各種法令は無視して生活し続けられるものなのでしょうか。

この例えを、会社(事業主)と雇用契約を結んだ場合の労働者の権利と義務との関係に、落とし込んでみてみましょう。

会社(事業)の名前が入った健康保険証を所持することの恩恵を受けたいのであれば、会社(事業)に籍を置いているのは当然として、労務の対価として収入を得て、税金や社会保険料の賦課を負いますよね。そのとき、会社(事業)の名前のパワーを享受しつつ、会社(事業)の方針を批判して就業規則等のルールを無視して仕事を続けられるものなのでしょうか。

あるいは、労働者本人の生活スタイル・価値観・プライオリティが、会社(事業主)と違っているからといって、自分ルールをその会社(事業)内で押し通していいものでしょうか。

もっと言えば、上司の業務命令は、個人の状況を理解しない無謀な命令だといって、批判するはどうなんでしょう。あるいは、業務命令を無視したり、無碍に拒否したりしてもいいのでしょうか?

自分の生活や体力と仕事とのバランスにおいて、会社(事業主)の仕事の振り方が合わないときなどは、自分の体調などを軸に、誠実に交渉することは大切です…

でも、だからと言って会社(事業主)の事業方針に反することを、自分の考え方に基づいて解釈したり、判断したり、捻じ曲げたり、会社(事業主)を批判したりすることで、上手くいくものでしょうか。

部下の仕事の割り振りを上司が決定するのは、上司の職務権限の範囲ではないでしょうか。

業務命令に対して部下が抵抗したり反論したり勝手な行動をしたときに、上司が声を荒げて叱責したとしても、それは業務指導の一環であってパワハラにはなりません。

議論するのは結構ですが、屁理屈を並べて、ぐだぐだ言って、何も進まないように邪魔するのもよろしくありません。

普通に仕事を割り振りされた結果、ちょっとキャパオーバーになったくらいのものでさえも、パワハラとは言えません。

業務負荷が増えたり、環境の変化によって、体調に異変があらわれたら、自ら労働条件を下げる交渉をするとか、自ら退職を決意するなどの、誠実な態度で交渉するのが理想だと思います。(私見ですが。)

実際、昇進を断ってゆるりと職業生活を送った人はいますし、わたし自身もかつて勤務していた先で体調異変を理由に労働条件の引き下げ交渉(時間減、給与減)をしたり、辞職したりしたことがあります。

上司が割り振る業務は、労働者の労働条件や待遇面との兼ね合いで、あなたに期待を寄せて決定しているにすぎません。(イジワルをしているのではありません。)

上司からの指示がキャパオーバーだったり、不快に感じるような出来事は、地位や待遇が良くなったときや、有名な職場の世間体を利用して自分を良く見せようと振る舞っているときや、ベネフィットを最大にして労務提供を最小限にしようと目論んでいたり、またそれが当然の権利だとするちょっと狡い考え方をしているときや、何か隠し事をしてしいて表面的に上手くやろうとしているようなときなどに、往々にして起こるものなのです。

何度も言いますが、こういうものはイジメやパワハラではありません。

他社から引き抜かれた、大抜擢された、昇給した、昇進した、異動があった、有期から無期になった、短時間からフルタイムになった、社保が適用された、などのタイミングから概ね1年くらいの間に、このようなことが起きています。(この手の相談を多く受けたわたしの実感)

しかし、よく考えてみましょう。

会社(事業主)にしてみれば、この機会にさらに経験値を積んでスキルをあげて欲しいと、あなたに期待しているのです。

引き抜かれたり、大抜擢されたり、有期から無期になったり、短時間からフルタイムになったりして所定労働時間が長くなったりすれば、当然もっと働いて会社(事業)に貢献してほしいと期待するのはあたりまえのことなのです。

だからこのようなタイミングで、上司が今まで以上の仕事を割り振ってくるのは当然の成り行きにすぎないのです。

引き抜き、抜擢、昇給、昇進、異動、社保適用、フルタイム化、無期化などのベネフィットを享受するなら、この手のプレッシャーを受けるのは、いわば当然なんです。

だから、具体的に体調を崩したり、体調に変調をきたしたときは、ちょっと考えてみましょう。

自分が得たもの(権利)と与えるもの(義務)とのバランスについて、我が身を振り返って考えてみましょう。

言い換えるなら、何か得たら(権利)、必ず回収される(義務)のです。仕事に限らず人生はこのバランスで成り立っているのです。

バランスを崩していませんか?バランスをとるために、変えられるのは、変われるのは、自分だけなんです…

どこで、どんな働き方をするのが自分の生活や体力にベストであるのか、また、自分が得るベネフィットと提供できるものとのバランスをよく考えて、自分の身の振りを自ら決定しましょうー

そして、勤務先の就業規則(労働条件、服務規律、懲戒規定)は、ちゃんと遵守しましょう。

また、職場内で自分の個人事業・宗教・政治活動・趣味などを宣伝したり、勧誘したりして、労使の信頼関係にキズを付けるようなことは、絶対にしないように気をつけましょう!