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盗まれた自転車

俺は、駅で盗まれた自転車を10分で見つけたことがある。
それだけではなくて、「探す」や「予測する」のが得意だ。

この時は、彼女が短時間だからと鍵をかけたまま置いてしまった。
戻ってみると無くなっている。
たまたま、一緒になった俺は事情を聞き、探すことにして彼女を帰らせた。

まず、闇雲に行動するのではなく、考察する。
その駅の特徴、どんな人が多く利用するのか?
ここで盗んででも行きたい所はどこか?
罪悪感なく盗んで使用することが出来る場所は?

そして、自転車を盗むということは、徒歩圏ではない。
少なくとも、半径500mほどは後回しでいい。

そして、絞り込んだ場所へ向かい、円を書くようにサーチして行く。
運良く予測は的中し、ある大企業の前に乗り捨てられている。
タクシーで行くべきか歩くべきか悩む距離である。
そして、家などではなく近所の目もない罪悪感に囚われない場所。
そこに盗まれた自転車があっても誰も目もくれない。

俺は、見つけたその会社の前で考える。
自転車を帰りも使いたいようで鍵は抜いてある。
この大企業に入って行って、持ち主だと名乗ることは出来る。きちんと所有の証があるからだ。事情を説明しても良いのだが、名乗り出る人間はいないだろう。

小一時間ほど、自転車の横でその会社を見ていると、さすがに数人がこちらを見ている。
多分、その中に犯人がいる。きっと出てくることはないし、出入りの取引業者かもしれない。

まぁしかし、相手はそれなりに怖かったはずだ。
自転車を盗んで来たことがバレれば、社員だろうと取引先だろうとタダでは済まない。
そういう、無言のプレッシャーを十分に与えて、その会社の前で自転車を入れて写真を撮りまくり、持っていた予備の鍵を使い、引き取ってきた。

その人は、もうそんなことはしないだろう。と、思うことにして。

追記
そもそも鍵をかけないのも甘いのだけど、性善説強めの考えで、まぁまぁ鍵しない人なんですよ(^_^;)

今回も「見つかって良かった。」って言ってたしね(笑)