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自然の庭をつくりたくて。

私は、ガーデンデザイナー。
庭を鳥や虫が来るような場所にしよう。そんな庭をつくるというと、多くの人は引いてしまう。最初は虫が来ない庭が欲しい、そんなお客様が多かった。でも、独立して、アトリエ心庭を設立して12年。少しずつ、虫や鳥、トカゲなどの爬虫類も大歓迎。そんなお客様も増えてきた。自分が目指している世界に共感してくれる人が増えている。そう思う。

自然の庭は、実際どんな場所なのか?
いくつかの自然の庭を経験して言えることは、どのくらい自然を受け入れられるかで、楽しさは変わるということ。自然の庭は、計算できない。木が勝手に生えてくるし、雑草も生える。年々、生える種類も変わってくる。自然任せと言っても放っておけばいいというものではなく、困る植物種は抜いたり草刈りをしたりという管理が必要になってくる。雑草という野草にも詳しくならないと抜く抜かないの判断ができない。そんな、自然のダイナミックな変化を「楽しい」と感じなければ自然の庭はやっていけない。
変化を受け入れ、多様な生物が増えることに気づき、楽しめれば、こんなに楽しい庭はない。

それでも、万人には勧められない「自然の庭」
人は今や自然の一部ではないように振る舞っているように感じる。密閉された家の中で気温をコントロールでき、他の生き物の存在を許さない清潔な環境が当たり前になっている。他の生物たちと距離があり、触れることも滅多にない環境にある。良い悪いではなく、そんな日本の状況がある。
そんな中で育ってきた人々に自然の庭は過酷すぎる。少しずつ慣れていく必要がある。メダカ鉢からでも、一本の木や草からでもいいから触れて欲しいと思う。触れないと本当に愛せないし理解できないのだ。
ちょっとだけ自然の庭を取り入れてもらうところからはじめたいと思う。

やっぱり自然は大切で、やっぱり人は自然の一部
それでも、身体は自然の一部で、自分がコントロールできそうでできない一番身近な「自然」である。自然はバランスでできている。季節の変化で気温が変わり湿度が変わる。草木も芽吹きから枯れ姿までが美しいものである。花だけが美しいのではないのだとわかると、どんな季節でも庭が美しく思えるのではないか。身体も自然の一部なのだから自然のリズムに乗せた方がいい。暑い寒いを感じて季節を感じ、草花に触れることで触覚が繊細になる。
きっと、その方が健康になれるのではないだろうか。

さて、そんな場所を一番身近なところで作ろうと思ったら、庭しかない。マンションのベランダでもいい。小さな小さな森を作ろう。
きっとそこから、広がりのある大きな世界がのぞけるはずだ。

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