中学生の進路指導に関するアンケート(最終結果)
お待たせいたしました!ご協力いただいたアンケートの最終結果をまとめました。学校が再開され、状況は刻々と変化していますが、第2波の到来に備え、参考にしていただければと思います。自由記述も貴重な現場の声としてそのまま掲載させていただきました。
中学生の進路指導について感じる課題、困り感、必要なサポートについて、感染拡大以前からと拡大後(現在・休校や分散登校中)に分けてお聞きしました。*N=52(中学校教員対象、大阪府39、大阪以外の都道府県13)
アンケートの概要はこちら(回答は締め切っています)
1-1 感染拡大以前から進路指導について困っているかどうかお聞きしました。
困っている…66%
困っていない…19%
わからない…15%
1-2 以前から困っていることについて、6項目から3項目を選んでもらいました。
合計はこのようになりました。
(項目)…進路情報について、進路指導の内容方法について、入試制度等について、生徒の成績について、生徒の進路意識について、生徒の生活環境の困難について
全ての項目がほぼ同率で選ばれていますが、もっとも選択されたのは、生徒の生活環境の困難について、でした。その他の項目については特に大きな差は見られませんでした。
1-3 以前から困っていることについて自由記述で回答していただきました。
2-1 現在のコロナ下の状況で困っているかどうかお聞きしました。
困っている…34%
今後の動きによっては困ると思う…58%
わからない…8%
困っていない…0%
現在すでに進路指導について困っているという回答は3割を超えています。また半数以上の方が今後の動きによっては困ると思っており、これらをあわせると、実に92%の方が課題を感じているということになります。困っていないという回答はゼロでした。
2-2 現在困っていることについて、緊急度が高いことを6項目から3項目を選んでもらいました。
合計はこのようになりました。
(項目)…進路情報について、進路指導の内容方法について、入試制度等について、生徒の成績について、生徒の進路意識について、生徒の生活環境の困難について
もっとも選ばれたのは、入試制度等について、次いで進路情報についてでした。最も少なかったのは、生徒の進路意識についてでした。以前からの困り感と比べ、情報の不足に困り感を強く感じていることがうかがえます。
2-3 現在進路指導に困っている理由を、10項目について、5段階評価でお聞きしました。
1…まったくそう思わない … 5…大変そう思う
(内容)…生徒の特性把握、生徒の学力把握、体験活動や進路学習の不足、生徒の学力不足、生徒のモチベーション不足、進学先情報の不足(教員)、進学先情報の不足(保護者、生徒)、タイミングがわからない、余裕がない、調査書等の取り扱いが分からない
①生徒の特性把握が困難
意見が分かれておりますが、回答は中間寄り(2,3,4がほぼ1/3ずつ)でした。特性把握に「やや困っている」と感じる方がほぼ1/3でした。
②生徒の学力把握が困難
こちらはかなり意見が分かれており、そう思う方とそう思わない方がほぼ同率でいるようです。学力把握について、「困っている、やや困っている」と感じる方が4割くらいでした。
③生徒の体験活動や進路学習が不足している
この質問では、6割の方が「困っている、やや困っている」と回答されました。「非常に困っている」と感じる方が1/4に達しています。生徒の体験活動や進路学習の不足については、かなり困り感が強いといえます。
④生徒の学力が不足している
学力不足については、約半数の方が「困っている」「やや困っている」と解答されました。「とどちらでもない」が1/3を占めています。「困っていない、それほど困っていない」と感じる方が1/4ほどいます。
⑤生徒のモチベーションが不足している
学力不足とよく似た傾向ですが、「どちらでもない」という回答が少し増えています。
⑥高校等進学先の情報を教員が入手しにくい
この質問も意見が分かれていますが、4割の方が「困っている、やや困っている」と感じており、3割超の方が「困っていない、それほど困っていない」と感じているようです。
⑦高校等進学先の情報を生徒・保護者が入手しにくい
⑥に比べ、困っているという回答が2倍以上になっています。「困っている、やや困っている」と感じている方が約6割を占めています。はっきりとした困り感を持つ方が3割に達しており、生徒や保護者の情報入手について、かなり困り感が強いといえます。
⑧進路指導のタイミングがわからない
この質問も意見が分かれましたが、進路指導のタイミングについて、「困っている、やや困っている」と感じる方が4割程度いるようです。また「困っていない」「あまり困っていない」と感じる方も同率程度いるようです。
⑨進路指導をする余裕がない
同じく意見が分かれましたが、「困っていない、それほど困っていない」と感じている方が5割近くになっています。進路指導をする余裕がないと感じているのは全体の1/3くらいの方のようです。
⑩調査書等の成績評価の取り扱いがわからない
調査書等成績評価の取り扱いについて「困っている、やや困っている」という方が5割以上になりました。「困っていない、それほど困っていない」と感じている方が3割ほどですが、調査書成績評価の取り扱いについては困り感が強いといえます。
2-4 その他困り感について自由記述で回答いただきました。
3-1 今後必要なサポートについてお聞きしました。
7項目について休校中(分散登校含む)と登校再開後に分けて5段階評価で聞きました。
1…まったくそう思わない … 5…大変そう思う
(項目)…学習の遅れ、心理的な安定、入試情報、体験的な活動、経済的な支援情報、オンライン教材、オンラインシステム
①学習の遅れへのサポート
休校中(上)、再開後(下)ともにサポートを強く望む方が多いようです。特に休校中については学習の遅れへのサポートが必要と考える方が9割になっています。生徒の学習の遅れへのサポートが非常に必要とされているようです。
②心理的な安定をはかるためのサポート
こちらも休校中(上)、再開後(下)ともにサポートを強く望む方が多いです。心理的なサポートを望む方は8割に上り、特に休校中については、心理的なサポートが大変必要だと思う方が学力サポートにくらべても4ポイント多くなっています。生徒の心理的な安定のためのサポートが非常に必要とされているようです。
③入試情報の迅速な提供
入試情報の提供については、休校中(上)、再開後(下)問わず大変必要だと感じている方が半数以上となっています。学校再開後でもサポートの必要性はそれほど変わらないようです。一方で2割程度の方は、どちらでもないという回答です。入試情報の迅速な提供サポートは非常に必要とされているようです。
④体験的な活動や進路学習の不足を補うサポート
体験的な活動や進路学習については、休校中(上)、再開後(下)かかわらず7割超の方が「大変必要、必要」と感じています。再開後でもサポートの必要性はそれほど変わらないようです。体験的な活動や進路学習の不足を補うサポートは、かなり必要とされているようです。
⑤経済的な支援情報提供のサポート
経済的な支援情報提供については、休校中、再開後問わず8割以上の方がサポートの必要性を感じているようです。非常にサポートが必要とされる部分と思われます。経済的な支援の情報提供サポートは非常に必要とされているようです。
⑥進路学習のためのオンライン教材のサポート
オンライン教材のサポートについては、休校中(上)、再開後(下)ともに7割近くの方が「大変必要、必要」と感じているようです。再開後のほうがややニーズが高いといえます。一方で、「必要ない、それほど必要ない、どちらでもない」という回答も一定数あります。
⑦オンライン学習のためのシステムサポート
休校中(1)、再開後(2)ともにオンラインシステムサポートは7割以上の方が「大変必要、必要」と感じており、特に再開後においては、大変必要と考える方が過半数を超えています。一方で「あまり必要ない、必要ない、どちらでもない」という回答も1/4程度ありますが、教材サポートに比べてもオンラインシステムサポートはかなり必要とされているようです。
3-2 必要と感じるサポートについて自由記述で回答いただきました。
休校中に必要なサポート
再開後に必要なサポート
今回の調査から、現在、進路指導に関する中学校の先生方の困り感はかなり強く、また必要とされるサポートも多岐にわたるということがわかります。コロナ下においては、それぞれの必要性をよく見極め、困り感の強い部分から優先的に対応していく必要があると考えられます。
なお、今回のアンケート実施に対していただいた感想やご意見は以下です。
これらの現場の皆様から寄せられた意見を生かし、各方面と連携を進めて、中学生が少しでも安心して進路選択に向かえるよう、サポート態勢を構築していきたいと思います。
以上、アンケートの最終報告でした。お忙しい中ご協力いただいた皆様、大変ありがとうございました。