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『マッチングしていくスキル』

受験シーズンも山場を迎えてきましたね。

受験生でなくとも、そろそろ新年度に向けて、新しいクラスや学校、職場に配慮のお願いをし始める時期ですね。

私もわが子が義務教育時は毎年のようにクラス編成が行われる前の2〜3月と、新担任や新管理職になる4月に学校へお願いに行っていました。

わが子が小学校低学年の頃、まだその時の教頭は特別支援などという概念もなく、
「お母さんの神経質すぎですよ!」
「障害だと思い込んでいるだけじゃないですか?
「私たちは教育のプロですよ!?」
と鼻で笑っていました。

ある年、翌年の移動先がたまたま通級に通っている学校だったのです。
その教頭はそこで初めて目の当たりにして、こんなにたくさんの子ども達が困っているんだと気づいたようで、
「通級指導の様子を見学してもいいか?」と言ってきたらしく、通級の先生が私に興奮気味に伝えてこられたのを鮮明に覚えています。

この教頭はただただ、ただただ『無知』だっただけだったのです。

『先生』と呼ばれる職の怖さでもあります。
いつの間にか自分の概念でガチガチに固めてしまい、そして勘違いしてしまう。
自分の専門性が揺るぎないものだと。

時間軸は常に進んで行きます。
ですので常にアップデートして行くことが必要なのです。
時間軸が進んでいるにも関わらず何も変わっていなければ、それは劣化です。
時間軸が進んでいるということは、環境も時代も変わっている。
それに合わせて考えや手技手法もマッチングして行くことが大切です。

例えば、今の子たちはスマホで何でも調べます。
英語で翻訳機能を使っている子は、ここの日本語なんかおかしいので上手くつないでおこう!と編集する日本語の能力が必要になって来ています。
英語の同時通訳の技術がもっともっと進んでいけばまた違う能力が必要になって来るでしょう。

また、情報は簡単に手に入るようになったからこそ、
今求められるのは情報を組みたて、組み合わせ、
必要なものを取って、要らないものを捨て、取捨選択し自分用にカスタマイズする、情報を構築していく力です。

災害時や大きな事件の時など、入ってくる情報量の多さに不安定になりやすい人は、
情報を上手にシャットアウトするのも情報量の多い時代だからこそ必要になってきているスキルです。

ただ、逆にトラウマを抱えている方や、特性故に1人で考え込むとネガティブな思考を増幅させやすい方などは、
自分に合った対処法を専門家や信頼できる相談先に相談するなどの手立てを持った方が良い場合もあります。

誰かに良い支援が、皆に良い支援とは限りません。
支援もマッチングして行くことが大切です。

東京大学先端科学技術研究センターの
中邑賢龍教授が不登校の子たちを集めた異才発
掘プロジェクトROCKETで言われた言葉です。

「子どもたちの能力をつないでいく、マッチングさせていくのが良い支援者だ。
それは良いプロデューサーということだ。」

子どもたちと社会をつなぐ、
子どもたちと未来をつなぐ、
それが支援者(保護者)の役目です。  

支援もその時その時、時代や環境や特性にあわせてマッチングして行く。
ですので一辺倒な支援などあるはずもないのです。
そして生き方も正解も皆同じであるはずありません。

『ねばならないに囚われない』でもお伝えした通り、進路だって色々な形やタイミングがあって良いはず。

子どもたちの意見は特性が故に現実的ではないこともあります。
理想と現実のマッチングをしていくことが大切です。

学校へ新年度のお願いにあがるときは、本人の意向と学校が出来ることのマッチングをしていくことでスムーズな支援に繋がるかもしれません。

「出来る」と「出来ない」の間には実は無数の選択肢があります。
自分の心の落とし所をマッチングしていくことでより自己理解が深まり動き出せるきっかけになるかもしれません。

『マッチングしていくスキル』は、考えを整理する上でも、困難な状況にぶつかった時、未来を生きぬく上でも育てたいスキルです。

そしてこの時代問われているのは、古い概念に囚われず目の前の子どもたちと環境や支援をマッチングをしていく私たち大人側の視点だ…ということに気づいたとき、
何かが大きく変わるかもしれません。





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