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10年後の医療

約10年後には一部のがんを除いてほとんどのがんの治癒が
可能になることが期待されている。

この先10年のがん治療の展望と
ALSなどの神経難病が克服されていく未来とは?

現在、人間の闘う相手は「感染症」から
「がん」「心疾患」「脳疾患」へと
比重を移しつつあります。
感染症の薬やワクチンをつくる技術や体制は進化し、
大きく進化を遂げました。

がんについては気にしている人も多いでしょう。
がんは年齢を重ねるほど発症率が上がる病気です。
日本人の平均寿命は延びていく傾向にありますから、
がんを発症する人が増えるのは必然といえます。
国立がん研究センターがん対策研究所の推計では、
一生涯のうちに何らかのがんになる割合は
男性が49%、女性が37%となっています。
日本人男性の2人に1人、日本人女性の3人に1人
がんになるといわれています。

しかし、
1990年代半ばになると、手術や放射線治療、抗がん剤などの組み合わせによって治るがんが増えてきました。
2000年代になるとヒトゲノムの解読が完了し、
遺伝子解析技術が格段に進歩して、
基本的に遺伝子疾患であるがんを効果的に治療できるような画期的な薬や治療法も登場しました。
がん細胞だけを狙い撃ちする分子標的薬、免疫細胞を覚醒させてがん細胞を再度攻撃できるようにする
免疫チェックポイント阻害剤が開発され、
治せるがんが増えていったのです。

胃がん、直腸がん、大腸がん、乳がん
早期発見や早期治療さえできれば、
克服できる可能性のある病気となりつつあります。
血液のがんである白血病も、治療法や薬が進化しています。例外はありますが、がんの発症から亡くなるまでに
多くの場合は数年、長い場合で10年以上の余命があります。がんを切り取ったり、コントロールに成功したりした結果、長生きする人が増えています。
がんを予防することはできませんが、
仮にかかっても死ににくくなっているのです。

過去のがん治療薬の増え方、薬の開発状況を見ると、
2035年にはほとんどのがんは治癒可能になるのではないかと見通されています。

もちろん、治癒のめどが立っていないがんもまだあります。たとえば、膵臓がんや胆管がんです。
膵臓も胆管も、CT検査や超音波検査では
見えにくい位置にあり、がんの発見が
難しいという性質があります。
膵臓がんや胆管がんは手術の難易度が高いことでも
知られています。膵臓や胆管の周辺には
重要な臓器が密集しているため、
浸潤(がん細胞が周囲の組織にしみ込むように広がること)や播種(がん細胞の遠隔転移のパターン)を生じやすく、
手術で正常な部分と病気の部分の分離が難しいのです。

克服に向かっている病気はがん以外にもあります。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)や
脊髄性筋萎縮症(SMA)といった「神経難病」と
総称される病気も治せる可能性が出てきている
のです。
このように、ALSという長く目標になっていた難病についても、創薬アプローチ全体が病気の克服に向けた成功のコースに入っていると考えることができます。

希望の持てる治療法があっても油断することなく
自己管理に留意して健康な体で過ごしましょう。




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