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最初の24時間

【てるこ恋のエッセイ】いーちゃんと過ごした24時間のこと

なんか、今、会わなきゃいけない気がする。
どうしても会いたい。
会ってどう感じるか確かめたい。
その一心で遠くの街からパリまで会いに来てくれた。

月曜夕方7じの電車で到着する彼を駅で待つ。
たくさんの人混みの中で、お互いを見つけ、目が合う。

ゆっくりと身体が近づき、
ぎゅっとハグ、自然とキス。

あぁ、やっと会えた、、、
(って、そんなに長いつきあいじゃないのに)

このとき、初めてのキスが気持ちよすぎて頭くらくら。
全神経が震える感じ、腰砕けで、とろとろになる。
立っているのが難しくて、身体を彼に預ける。

夜ごはん食べよう、ということでタイ料理屋さんに行く。
30分くらいでささっと食べる。

彼が目の前にいるのが信じられない。
ただ手を握っているだけで、ビリビリと何かが入ってくる、
指先で何かが交換されているのがわかる。

食べ終わって(というか、食べきれなくて、私のパッタイは半分以上も残ってたので、持ち帰り用につめてもらった)
彼のおうちに向かう。
30分ほどUberで移動。

車の後部座席で揺られながら、
たまに目を合わせて、唇をそっと重ねる。

おうちについて、ベッドに寝転がる。
なにもかも、自然に思えた。
こうして肌を重ねることも、キスをすることも、
寝てて、夜中にふと起きて
肌が触れ合って、また行為が再開することも

朝起きて、彼が「何を飲みたい?」って訊いてくれることも
一緒にクッキーを食べることも。

ずっとこうしていたい、と思う24時間だった。
そういうの、あんまりない・・・
こうして書き残しておかないと、すぐに忘却の彼方だ。

次の日のお昼ごはん、食べきれなかった残り物のパッタイを
おいしく食べて、
「やっぱりお腹が空いたときに食べるのが一番おいしいね」
とおいしさを噛みしめる。

そして、シャワーを浴びたり、
お茶を飲んだり、
またひたすらイチャイチャしたり、、、

同じ場所が当たる部分は身体がヒリヒリし始める。

いくら抱き合っても、足りないのだった。

「サヨナラを言うのはとても難しい、、、」

私の滞在しているアパルトマン近くまで
バスで送ってくれた。

サヨナラを言う。
バスの中でそっと手を離した。

次に会えるのはいつかしら・・・

いつかしら、、、と思っていたら
次の日、彼の乗る予定だった早朝の電車の時間が午後に変更になった
とのことで予定外にまた二人でランチができることになって。

ブランコがあるカフェで、12じから2時間くらい
ゆったりごはんを食べた。

あいにく、チキンはパサパサだったし、
いつも外からの冷たい風が入ってきて寒い、という
いまいちな環境だったけど、
ブランコ席に移動して、私が楽しそうに笑うのを
彼はとても嬉しそうに眺め、すてきな写真を撮ってくれた。

バスの中でも、手をつないでいるところを写真に収めていた彼

数少ない、私たちが一緒にいるときの写真。

いつか、この人とも別れが来るのかもしれない。
いや、別れは必然なのかもしれない。

こうして、書き残したい24時間を過ごしたことは
ひたすらに美しい、尊い、と思う。

食べ物も、着るものも、華やかさは薄れる。

この24時間も、書き残しているこの瞬間に
どんどん記憶から失われていく。

実際よりもさらに強烈に、この感覚を書き残したい。
忘れないうちに、書き残したい。
まだ彼の温かさを感じているこの瞬間に書いておきたい。
あなたのことを想うと心が温かくなる、
そんな出会いをプレゼントしてくれたことに
ありがとう、と言いたい。


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