【犬噺#3】猫化する犬たち
ペットとして人気を二分する犬と猫ですが、2021年の飼育頭数は犬が710万頭に対し、猫が890万頭(ペットフード協会)と、猫がリードしているようです。
その一方、Yahooが行ったアンケート結果(2022)では、犬好きが60%で猫の40%を逆転しました。
でも動画配信では、やはり猫が人気なようですね。
こうした事情もあってか、近年猫化する犬が急増中。そんな犬たちについて調べてみました。
柴犬は猫っぽい犬?
海外のサイトで猫みたいな犬を検索すると、柴犬がランキング上位に出てくる。
犬はその起源から、狩りに同行してご主人の補助を務めてきた。欧米の狩猟犬は、群れで統率のとれた行動をとり社交性に富む。
柴犬が欧米人から見ると猫みたい、と思われるのはご主人以外の他のペットや家族に懐きにくい、シャイな性格だからだろうか。
日本の狩猟スタイルは欧米と異なり、猟師と犬の単独行が多い。猟犬の性格もこの環境に沿って形成されたのかもしれない。また日本人がシャイなので、そういった先入観の投影もあるだろう。
ほかにも、以下にあげる猫みたいな性格と言われる犬たちがいる。
柴犬と同様に、古来の習性を残したエンシャント・ブリード(在来血統)と呼ばれる犬たちだ。
その共通した性格は、仕草は猫に似た野生味があるものの、主人以外との付き合いは苦手、というもの。
バセンジー
バセンジーは、中央アフリカで狩猟に使われていた在来犬。猫のようなしぐさで顔を拭いたり、犬のように吠えなかったりする。
柴犬と似た性格で、独りの人に懐いたら他の人には警戒心を解かない。現在のバセンジーは、テリアとのミックスが主流。
イタリアン・グレイハウンド
テリトリーの侵入者を追い払う行動や、他の動物に寄り添って寝るのが好き、といった猫みたいな性格の犬。
ウィペット
英国の庶民派の猟犬。サイト(視覚重視)ハウンドなので、嗅覚よりも目で獲物を追う習性や、寒さが苦手で丸くなって寝る。そんな姿が猫みたい、と言われる所以だ。
猫っぽい外見の犬たち
犬と猫の共通する祖先といわれている「ミアキス(ラテン語で「動物の母」という意味)」は、約6,500万~4,500万年前にヨーロッパ大陸の森に生息していた。
体長は約30センチ、胴体は細長く長い尻尾と短い脚をもったイタチに似た姿だった。
共通祖先から枝分かれした犬と猫だが、先祖返りのように外見が互いに似てきた血統もいる。
ペキニーズ、ポメラニアンやポメラニアンのミックスには、猫っぽい容姿の子がたまにいる。
ポメラニアンとハスキーのミックスであるポンスキー(Pomsky)も、子犬のときは猫のよう。
人工授精で生まれるハイブリッドだが、自然交配で生まれる可能性がない系統であり、そうした交配種を作ることには賛否があるようだ。
逆に犬っぽい猫もいる。
2010年に米国で見つけられたリコイ(ライコイとも(Lykoi))は、狼猫と呼ばれる容姿と、ワイルドな見かけによらない犬のような性格がユニークな猫だ。
突然変異によって被毛の一部がまばらなため、独特な顔をしている。
その強面の外見と裏腹に頭が良く、飼い主さんに懐きやすいと言われる。また玩具を投げると、犬のように持ってくる様子が動画でも配信されている。
猫とうまくやれる犬
猫と犬が仲良くしている映像を観ると、なんて優しい世界なんだ、と一時現世の喧噪を忘れられる。
猫を始め、他のペットと仲良く付き合えるのは、次の犬たちだ。
ゴールデン・レトリーバー
ラブラドール・レトリーバー
ビーグル
ボーダーコリー
ボストンテリア
小型の犬や、モダンブリード(近代血統)と呼ばれる様々な遺伝子をミックスした血統が、社会性に富むため猫との相性も良い。
Twitterでは、猫と仲良く暮らすパグや、猫と暮らすうちに高い所に登るようになったレトリーバー、猫独特の香箱座りを披露するチワワなどがいて、どれも人気だ。
犬と猫を一緒に飼うことは可能で、子犬、子猫の頃から共に過ごせば兄弟のように仲良くなることもある。
そもそも人間という、まったく異種の生物と暮らす能力があるわけだし。
ただ犬と猫では、基本的な性格は異なる。
犬は群で行動し、リーダーとして認識する飼い主に従順。昼に活動し、夜に群と共に寝る。
いっぽう、猫は基本的に昼は寝ている夜行性の動物。単独行動を好むが同調性にも優れ、束縛する彼氏は嫌い。スマホが好きで直感力と感性が鋭く、オシャレやデザインに関心が高い。
恋愛に関しては上書きタイプで、過去を切り替えて次に進む能力が高い。
猫と犬が同じ空間で過ごすときは、猫のストレス・ケアが大事。
猫は単独行動を好むので、そのテリトリーに他の動物が入ってくるとヒステリーの原因になったりする。
互いにテリトリーを侵略し合わないように、猫が優位性を自己確認できるキャットタワーなど、犬がやって来れないスペースを作ったりすることが必要。
また静かで狭い場所を好む犬のために、階段下にケージを設置したりして、感情的で理論的でないことを言ってくる猫から離れられる、書斎のようなスペースにするのもよい、と思う。
ライフスタイルの変化が招いた猫化
むかしは猫は放し飼いで、ご飯と寝るときだけ屋内に帰ってきたり、なかには複数の家に掛け持ちで飼われている猫もいた。
それぞれの家で、別の名まえで呼ばれてもちゃんと対応できる。
しかし、今では完全室内飼いが多く、わが家の猫たちも外には出さない。
外猫と接触してウイルス病に罹患したり、なによりも交通事故のリスクがない、という利点がある。
ただ生まれたときから、室内に適応している猫と外猫だった保護猫では、やはり感じ方がちがうようだ。
ウチでも元外猫だった子は脱走したことがあり、探して連れ帰るのは大変だった。その話はいずれまた。。。
驚いたのは、最近は大型犬も室内飼いされる場合があることだ。
子どもの頃飼っていた犬は、ずっと外の小屋に繋がれていたので、一日一回の散歩のときは大喜びだった。
Tiktokなどで、散歩で外に行くのを嫌がる室内飼いの柴犬などを見ると、おかしさと共に現代っ子だなあ、と思ってしまう。
室内で暮らせば、インテリアなどいろんな物に関心が向い、その行動が猫のようになってくるのかもしれない。
特に同じ屋根の下で猫と一緒に暮らせば、キャットタワーやテーブルに乗ったりするのを見て、犬も自分だって、と思うことがあるだろう。
逆に猫のほうも、飼い主に合わせて昼型になったり、犬のように仲間にフレンドリーな態度を見せるケースもある。
共生活していくうちに犬も猫も、大きな犬もしくは大きな猫と思っている人間に対して寛容になるなかで、互いに似てくることがあるのだろう。
ライフスタイルの変化が、犬や猫に及ぼす影響は大きいようです。
犬や猫と同じように語ると怒られるかもしれませんが、コロナ以降ニンゲンも変わりましたね。
つい先日の大寒波で、ウチの近くでも珍しく雪が積もりました。
雪道をおっかなびっくり車で行き来するうち、大きな違和感に気づきました。
滅多にない積雪なのに、雪だるまや雪合戦をする姿がひとつもないのです。
むかしはちょっとでも雪が積もれば、ドロ交じりの汚い雪だるまを作る親子の姿があったのに。
子どもがいない!
いたとしても、ウイルスがいるような寒い外に出す親がいない。
日本人は、テレビ以外この先一生マスク越しにしか他人を認識せず、マスク姿以外を知らない子どもたちが、これから就学年齢に達する。
黙食、黙学、他人との遊びはモニター越しのゲーム。
人々がこの先、どんな国にしたいのかどんな国になるのか、私のような爺は怖い物見たさで楽しみにしています。
(参考)
「あなたは犬派? それとも猫派? 2000人アンケート 獣医師に聞く犬、猫の「良さ」」(022/9/19(月) 8:10配信 Yahoo JAPAN)
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