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今日も空は綺麗。

前に私が片思いしていた茶道サークルの先輩と1ヶ月ちょっとお付き合いをしました。けど、おとといお別れをしてきました。私からでした。

付き合えた報告もしないまま、まさかお別れしたことを綴る日が来るなんて思ってもみませんでした。あっけなくて、短い恋でした。パッと燃えて、パッと散るような。

付き合ったのだって初めてだったのに、別れ話をするのももちろん初めてで。もちろん別れを切り出された向こうのほうが辛かったとは思うのだけれど、まるでデートをするかのように彼を誘い出すのは苦痛だった。大学にスタバがあってよかったと思う。スタバを利用しなくても座れる椅子もある、そして時期は春休み。幸い、生徒はほとんどいなかった。

都内に住んでいない彼は、大学に来るだけで1時間半くらいかかるとか言ってたっけ。でも、実際どこら辺に住んでいるのは詳しく知らない。教えてくれなかったし、私も聞かなかった。

長い時間をかけて大学に来てくれる彼のことを、やはり少し申し訳なく思って、45分ほど早く目的地につき、まだ冷たい風に吹かれながら外で彼を待った。いつも彼は、私より早く待ち合わせ場所にいた。15分くらい前にいたこともある。私より遠くからきているはずなのに、そんな彼が不思議だった。

でもそんな彼が、今日は時間ぴったりにきた。私には気づかなかったのか、外の椅子はチラッとみたくらいで、中に消えていった。彼もしばらく座って待っていたみたいだけど、私が来ないことに違和感を覚えたみたいでLINEが届いた。

「今、どこらへん?」

あぁ、外にいた私に気づいてくれなかったんだな、と少し悲しくなった。

「外にいるー」

2月の2週目に入ったあたりから、私の彼に対する感情は少しずつ落ち着いてきてしまっていたので、私もそんな淡白な返信をしてしまった。最後まで優しくできなくてごめんね。

別れ話を切り出した。私の最近の少し冷めたLINEでの対応には気づいていたみたい。鈍感な彼でも流石に気づくようなひどい態度をとってしまっていたのだと思うと、少し胸が痛んだ。急に切り出すよりはよかったのかなとか、そういう思いもちらついたのだけれど、、。

彼に別れを切り出した理由。本当は「冷めた」からというのが一番大きな理由だった。私が期待しすぎた、彼が2歳年上だというだけで。彼だって、彼女ができたのは初めてだったのに。

でも許せなかった。私がコーヒーより紅茶が好きだということは4回も聞いてきたし、コンプレックスの身長だって同じくらい何度も聞かれた。頑張ってメイクしてきた日に限って何にも言われなかったことも、外見だけじゃなくて中身を見ようとしてくれなかったところも、面白い私を褒めてくれなかったところも。

努力が伝わってこなかったと思っていたけれど、すごく不器用だっただけなのかな。でも「一緒に行こうと言っていた友達が行けなくなったから」と言って、わざわざ彼女をイベントに誘わなくてもいいと思う。私はその程度の女の子なのか。君にとって、それくらいの優先度なのか。

冗談が通じなかったのも辛かった、いつもの自分でいられなくて。共通の話題も、サークル以外正直なかったし。同じものについて盛り上がれたことって、多分なかったな。私は西洋絵画が好きで、君は浮世絵とかそういう方が好きだった。私の好きなものを、君は基本好きじゃなかったし、興味がなさそうだった。大抵のことは私ばかり詳しくて、なんだか悲しかった。私ばかり話していた。情熱を感じられなかった。この人って何を考えながら生きているんだろう、という疑問は彼を気になる前から感じていたけれど、結局付き合っても何一つわからなかったな。

「これだけは誰よりも語れる」

そんな人が好き。そんなものが、もしかしたり君にもあったのかな。引き出せなかったのは、私の方だったのかな。だとしたら、ごめんね。

こんなに沢山、彼の「足りない部分」を並べてしまったけれど、一つだけ言いたいのは彼は人としてはいい人だったこと。空いているグラスに店員さんが水を注いでくれるだけでも、ちゃんとお礼が言える人だし、先輩にも後輩にも頼られているし。すごくすごくいい人だったのだけれど、恋人としては、異性としては、ちょっと違ったかも。人としてまで、嫌いになりたくなかった。すごくすごくわがままかもしれないけれど、そんな理由でも別れた。

いろんなコミュニティに顔を出している私は、彼と別れたい理由として「色々なことに興味を持って活動している自分にとって、今は恋愛をする時じゃないのかもしれない。他のことでいっぱいで、今はこういう関係でいる時じゃないのかもしれない」と伝えてしまった。要は「忙しいから別れたい」ということ。恋人を振る理由が本当にこれである場合ってない、ということをどこかで聞いたことがある気がする。確かにその通りだ。

女の子のことを何にも知らないであろう彼に一つだけ言えるとしたら、「私より教えたがりで、寛容なお姉さん彼女がきっと君には似合うよ」ということ。私には、一つ一つを指摘できる余裕も勇気もなかった。プライドが高そうな君に一歩近づくことができなかった。歳上の面子は潰さないようにしたかったの。

次に私が付き合うとしたら、ずっと笑っていられるような人。好き嫌いがあまりない人。私の中身に恋してくれる人。甘えていいんだな、って思えるような相手。

そして、私をみていてくれる人、私を記憶の一つ一つに刻みつけてくれる人。

もっと、私のことを見ていて欲しかったの。もっと記憶を私でいっぱいにして、君の頭の中を占領したかった。何を見ても、誰と話していても「彼女はこんなことを言っていたな」と思い出すくらいには。私の好きなもの、私が話したこと、君はどれくらい言える?

せめて、今日の空が青くて綺麗だったことくらいは覚えておいてほしい。

私は君のお母さんが好きなアイドルのことも、君がフルーツをあんまり好きじゃないことも、君のおばあちゃんが羽生くんを好きなことも、全部全部、当分覚えていると思うけど。

あともう一つ覚えておいてほしいとしたら、

私たち一度も一緒に写真を撮らなかったね。次の彼女の笑顔は、沢山写真に収めておいてあげてね。簡単に記憶から逃げちゃわないように。


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