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ビジネススピリットの創造


日本ではビジネスの魂である『ビジネススピリット』という概念をちゃんと考えてきたことが無いと感じる。それは戦後、日本が考えなくても欧米が提供してくれていたからで、日本は欧米の真似をして手先を動かし、頑張って働いていればよい時代がずっと続いていた。だが、いまはそれではいけない時代になった。日本も新しいビジネススピリットを生み出していかなくてはいけないのだが、この20年来全くそれが出来ていない。僕はいつか日本も新しいビジネスを始めてくれると信じて待っていたのだが、一向に始まる気配がないから、もう自分でやりだすしかないと思っている。

ビジネス・スピリットとは、会社などの組織がどうビジネスに取り組むべきかの根本となる『ビジネスの魂』をシンプルに表現したもの。その組織がビジネスを成り立たせるための一番基本となる考え方・手法や分野を定義したもので、ビジネスを軌道に乗せるための魂(原動力)だ。魂がなければ肉体も存在しえない。
肉体というのがそのビジネスを実現するための組織=会社であり、その組織が働くためのロジックを定めたプログラムがビジネス・モデルだ。

ビジネス・スピリットがあるから組織という肉体に存在価値がでてくる。ビジネス・スピリットの考え方に沿って肉体を動かすことで、肉体の動きが効率的になる。
このビジネス・スピリットは、時代とともに生まれてくる製品や技術によって変わってくるものだから、時間と共に変化していくのは当然だ。ビジネスの初期にうまく機能していたビジネス・スピリットも、時代とともに世の中とアンマッチになっていく可能性があるのはこのためだ。
たとえば、ソニーのオーディオはもともとアナログでスタートした。レコード盤やテープレコーダーだ。それがデジタルの時代になった時、あの井深さんでさえ、デジタルはソニーには向かないとおっしゃったと聞いている。危うくCDの開発プロジェクトもつぶされそうだったとか。今考えれば信じられないことだが、そういうことが起こりうるのだ。ビジネス・スピリットを新たに考えだし、それを環境の変化に応じて変化させていく必要があるのだ。


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