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花火
高鳴る胸は
キツく締めた帯のせいだろうか
それとも、隣にいる彼のせいだろうか
まともに顔を見ることも出来ず
人混みの中、彼の背中を追う
「離れるなよ」
そう言って繋いだ手は
もう、汗でビショビショである
次第に人の流れは止まり始め
屋台は空き、海岸沿いに集まりだす
***
ヒュルルル
バーーーン
***
空を彩る無数の花が咲き始めた
あの胸の鼓動もかき消してしまうくらい
大きな音を立てながら
「なぁ。……」
「えっ?何?」
花火の音に重なって何を言っているのか聞こえない
あぁ、そうか!と、ほほ笑みながら近づく顔に
騒がしくなる胸の鼓動
花火よりも大きな音を立てながら
彼との距離がまた少し近くなる。