「次世代レチノール」で最も注目されているバクチオールって何者??
こんにちは!
COCO.libraryのゆうくです!
突然ですが、皆様は「バクチオール」というスキンケア成分をご存じでしょうか?
最近目にすることが多くなってきたものの、どんな成分なのかご存じない方も多いのではないでしょうか。
バクチオールは「次世代レチノール」とも言われており、化粧品業界でも最も注目されている成分の一つです。
今回は、バクチオールがなぜ「次世代レチノール」と言われるのか?成分の魅力について、実際の研究データを用いて解説していきます!
レチノールには興味があるけど、刺激が怖くて使用していない、実際使用して合わなかった、という方には朗報になるかもしれません!
バクチオールとは?
バクチオールは、「オランダビユ」と呼ばれる薬草から抽出して得られる天然化合物の一種です¹⁾。
古来より、インド医学などで用いられてきたこともあり、安全性の高い成分としても期待されています。
バクチオールが「次世代レチノール」として注目されている理由は、レチノールと類似したスキンケア効果と、レチノールよりも優れたとある特徴に隠されています!
それらの効果と特徴について、報告されている研究データをもとにご紹介していきます!
バクチオールの効果
バクチオールの肌に対する効果は、以下の報告があります。
シワ表面積と色素沈着の改善効果
カリフォルニア大学で行われた研究にて、44名の方を以下の2グループに分け、12週間後の肌状態の変化が確認されました²⁾。
・0.5%バクチオールクリームを1日2回塗布
・0.5%レチノールクリームを1日1回塗布
この研究の結果、どちらも「シワ」と「色素沈着」の改善効果が確認され、両者に有意な差はなかったということが分かりました。
紫外線による皮膚の損傷と肌弾力の改善効果
米国の化粧品原料会社(Sytheon)で行われた研究では、1%バクチオールを含有したオイルを1日2回12週間塗布し続けることで、シワと色素沈着の改善効果に加えて「肌弾力」と「紫外線による皮膚の損傷」の改善効果が確認されました³⁾。
ニキビの抑制効果
上記の会社で行われた別の研究では、6週間のバクチオール使用によりニキビを抑制したことも報告されています⁴⁾。
また、バクチオールがニキビ抑制効果を示したのは、以下2つのニキビ悪化要因への抑制効果によるものだとも報告されました。
・「男性ホルモン」の活性に関与する酵素(5-αリダクターゼ)
・「アクネ菌」の増殖
バクチオールがレチノールよりも優れている点
ここまでにご紹介した効果は、レチノールでも同じく確認されています。
では、バクチオールはなぜレチノールよりも注目されているのでしょうか?それは、以下の2点がレチノールよりも優れているからです!
安全性
レチノールは、皮膚刺激性や「A反応」と呼ばれる副反応が懸念されています。
A反応とは、皮膚の細胞の成長促進により、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が早まることにより皮膚の皮むけや炎症など肌が敏感状態になる反応です。
一方でバクチオールは現状、皮膚刺激性とA反応は確認されておらず、副作用が比較的少ないことが期待できる成分です。
1つ目のバクチオールの効果でご紹介した、カリフォルニア大学の研究では、レチノールとの効果比較も行っており、レチノールでは皮膚のヒリヒリ感を感じた一方で、バクチオールでは皮膚のヒリヒリ感を感じなかったことも確認されていました。
このことから、レチノールの効果を感じたいけど敏感肌で刺激が気になるという方は、バクチオールであれば刺激を感じにくく使用できるかと思います。
光安定性
レチノールのもう一つの欠点としては「安定性が低い」ということです。
紫外線で容易に分解され、本来の効果を発揮できなくなります⁵⁾。
(よく「夜レチ」と言って夜に使うのを推奨されるのは、これが理由の一つです。)
一方でバクチオールは光安定性が高く、分解されにくいことも一つの特徴です⁶⁾。
そのため、「朝でも使える」すなわち、日中もシワ、色素沈着、ニキビの改善効果が期待できるということが、レチノールと異なるメリットの一つであることが考えられます。
効果の強さは、諸説ありますが、レチノールよりもマイルドであるという可能性があります。
1つ目に紹介した研究ではレチノールと同等の効果を示すのに、バクチオールはレチノールの倍量必要でした。
そのため、効果だけを求める場合はレチノールを選ぶのを推奨します。
まとめ
今回ご紹介したバクチオールの特徴をまとめていきます。
ここまでお読みいただき、バクチオールが高いスキンケア効果をもつ優れた成分であることが分かるかと思います。
今までレチノールを使って「肌に合わなかった」「効果を感じられなかった」という方は、ぜひ一度使ってみることをオススメします!
参考文献
1) Bakuchiol – a natural meroterpenoid: structure, isolation, synthesis and functionalization approaches, T. P. Adarsh Krishna et al., RSC Adv., (2022)
2) Prospective, randomized, double-blind assessment of topical bakuchiol and retinol for facial photoageing, S. Dhaliwal et al., British Journal of Dermatology, (2018)
3) Bakuchiol: a retinol-like functional compound revealed by gene expression profiling and clinically proven to have anti-aging effects, R. K.Chaudhuri et al., International Journal of Cosmetic Science, (2014)
4) Bakuchiol in the Management of Acne-affected Skin, Ratan K. Chaudhuri, PhD et al., Cosmetics & Toiletries® magazine, Vol. 126, No. 7, (2011)
5) スキンケアのための科学(3)レチノール, 株式会社シクロケムバイオ, ホームページ 研究情報, (2023.11)
6) Development of a new chromatographic method for the determination of bakuchiol in cosmetic products, Katarzyna Kurpet et al., scientific reports, (2023)