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味付海苔をできあい、しーま

しーまは「新米ママの奮闘記」に登場したきっちゃんの愛娘。そして「ちゃぴとわたしの5 Years in Toko」に登場したちゃぴの姉で、これがわが家のきっちゃんファミリーだ。しーまはママと妹と同じく、美人猫。いつも涙目、憂いを帯びた目をもつ。チンチラの子でありながら、短毛猫として生まれた異色の子である。小さく、消え入りそうなかぼそいハイノートの声で鳴く「みーん」が特長だ。別になにかが起きたわけでもないのに、しーまは挙動不審なところがあり、見えないものをこわがる。そう表現すると、不可思議な力があるのかと思ってしまう。これらの数多い属性の中でも、彼女のミステリアスな魅力は、味付海苔をこよなく愛するところにある。

どこにあるか、すぐに見つける捜査犬なみの能力

いつ、どこでしーまが海苔と交流したかは覚えがない。想像では、しーまが懐いているわたしのパートナーだ。彼は、無類の海苔好きで、食事の最後は海苔でしめる。食事の時はしーまが彼のまわりをぐるぐる周わり、膝に座る。しーまが海苔を覚えたのは間違いなくこの瞬間に違いない。しかも彼は、焼き海苔より味付海苔を好む。興味深いのは、しーまが海苔の香りを嗅ぎ分ける能力である。家のどこかに海苔の缶があれば、しーまは「これは海苔だ」とわたしにアピールする。しかし、しーまが好むのは単なる海苔ではない。味付海苔以外は海苔と認めない。単なる焼き海苔は「フン」と猫またぎとなる。わたしは生涯、いろんな猫ちゃんと関わってきたが、しーまのような猫ははじめてだった。

味付海苔を求めるのは、しーまのライフワーク

一般に猫には濃い味のものを与えてはいけないといわれる。しーまは、どこに片づけたかわたしが忘れた味付海苔を捜査してわたしに教える。もちろん、食べたいからだけど。という具合だから、味付海苔をしーまから隠す方法がない。こうしてしーまはほしいものを求めて探索を続け、猫に濃い味のものがよくないと言われながら、腎臓病にもならず、18歳まで生きて天寿をまっとうした。猫としてはまずまずの人生と、最後の瞬間にしーまが味付海苔に感謝したかは誰にもわからない。



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