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24.02.09 『どうしても生きてる』

朝井リョウ先生の作品だ。
この作者さんの作品を読むたび、私は首をひねる。

私は所謂、ハピエン厨というやつだ。わかりやすく言うなら、ハッピーエンドが好きな人間だ。
対して、朝井リョウ先生の作品はどの作品も大体ちょっと暗い。合わない作家なのかもしれない。
(ただし、朝井先生のエッセイや『チア男子‼』は底抜けに明るく好きだ。)

この作品も同じように、分類するなら暗い作品になるだろう。
暗い作品を書く理由が私にはわからない。読了後にスッキリしない感覚があり、モヤモヤが止まらない。
何か強いメッセージが込められていて雰囲気が暗い作品は、別に嫌だと感じない。文豪の本は文体の美しさや、メッセージがあるから暗くても好きだ。
しかし、この本に関してはそのメッセージがあまり感じられなかった。
だからいつも私にはこの作者さんの良さが分からない。きっと合わないのだろう。
それでも読んでしまうのは、彼の書く底抜けに明るい作品が好きで好きでたまらないからだろう。彼の内側の部分が出ているそれらの作品の方が私は好きだ。また、明るい雰囲気の作品を読める日が楽しみだ。

途中までそう思っていた。
最後の「籤」が、この本に対する印象をがらりと変えた。
この話の主人公の女性は、外れ籤を引いてばかりいると感じている。私も近いものを感じている。男兄弟の方が優先される場面にはとても共感した。他にも彼女と近い感情を抱いていて、この話は私のモヤモヤの置き場所となってくれた。
この本は、様々な立場で鬱憤を抱えた現代人の感情のロッカーとなってくれるのではないだろうか。


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