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Plan01:設計事務所 Yö-ユオ-

土地情報

・住所:青森県八戸市諏訪
・用途地域:第一種住居地域
・建ぺい率:60% 容積率:200%

場所の特徴

大きな道路の十字路の角地。駐車場の広いコンビニの道路向かいに位置してる。

→八戸市民御用達のデパートへ向う途中であったり、仕事場と自宅の中継地として連日多くの人が利用している。

八戸市の繁華街(通称:まち)・八戸駅← 港(朝市が行われる) ← 高校、中学校へと続く市営バスが通る場所。(もちろんバス停あり◎)

つまり、市内の多くの人が通勤・通学の際に目にする場所である。

新たな美術館やYSアリーナ、八戸ブックセンターなどの文化施設が新設されたことにより、古くからの商店の魅力も見直されてきている「まち」と港町の中間地点となるこの土地。この場所を起点に八戸で新たな空間を設計していきたい。


住む・つかう人

私、猫1匹、犬1匹

欲しい場所

 ・設計業務のための作業スペース、打ち合わせスペース、自由に使える土間空間

・猫や犬たちのための空間

・緑が楽しめる空間・西陽問題の解決策


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以上の内容をまとめ、今回提案する「設計事務所 Yö-ユオ-」のコンセプトは

縦の空間構成による 「1 Floor  Plan」


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[敷地面積:365.75㎡  延床面積・建築面積:43.04㎡(11.76%)]

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平家と2階建ての建物をL字につなげたプラン。平家部分は土や動物たちの毛などの掃除がしやすいように土間空間に。ただ、エントランスからの外気は入れないように、引き込み戸は必須です。ドアでもいいのでは?と思うかもしれませんが、春や秋など冷暖房を使わない時は仕切る必要はありません。そんな時は、完全に壁の中に引き込んで、より広く空間を繋げます。ということは、引き込み戸は、ガラス戸であればたとえ引き戸を閉めても空間の広がりは感じられそう。

そしてメインとなるフリースペースには、部分的に梁と柱をあらわし(化粧梁・柱)にしています。間仕切りの無い1つの空間に縦(柱)と横(梁)のグリッドが数本見えることで空間が分類されることでより引き締まります。そういう空間的な効果だけでなく、梁や柱に観葉植物をぶら下げることもできます。もちろん、ハンモックもOK。きっと猫にしかわからない特等席にもなるでしょう。

この事務所の暖房は「薪ストーブ」ひとつ。どの部屋にいても暖かい温度にするために、ワンフロアにしました。薪ストーブは、JØTUL F 105で!コンパクトでかつ丸みのある形がとても好きなんです。東側の壁面に薪棚をつくり、勝手口から補充も楽に。床は土間なので、土や木の破片の掃除も楽。薪ストーブにしたのは、八戸は地震がよく起きる場所だからです。震災のあった10年前の日、電気は止まりました。あの日の経験があり、できるだけ熱源は電気を使わない方がいいと思っています。薪ストーブであれば、暖房だけでなくお湯を沸かしたり、簡単な調理もできます。もしかしたら、非常時には地域の小さな拠り所になれるかもしれません。灯りがあるだけで、気持ちがほぐれる、あの感覚は忘れません。

薪ストーブにあたりつつお気に入りの椅子(ニーチェアエックスやメキシコのエキパレスチェア)に座りながら西側を見ると、大きな木製の引き違い窓から庭の緑が見えます。

ここは道路を挟んで敷地の西側にコンビニエンスストアの広い駐車場があります。つまり、このコンビニが潰れない限り、西側には開けた空間が確保される。通常は隣地と自分の敷地ギリギリに何かの建物が建つ可能性があり、今は空間が空いていて光がさしても数年後にはずっと日陰になってしまうこともあります。が、この敷地にはそんな心配は必要ありません。コンビニの駐車場+道路なので開けた空間は数十年確保されます

ただ、問題は「西側」だということです。えげつないほど西陽が差し込みます。青森といえど、夏は30℃を超えます。ただし、八戸の冬は雪は少ないですが、0℃以下の日がほとんどです。その解決方法として、2階建ての建物より平家を1.82m後退させ、袖壁をつくり軒の出をより深くしています。これで、2つの建物が同じライン上にあるより日差しを遮ってくれます。加えて、2m程度の広葉樹を植えることで、夏は日を遮り、冬は葉が落ちることでたくさんの日を取り込んでくれるでしょう。

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そして、キッチン・ミーティングルームはフリースペースより40cm床を高くしました。これは、床の高さを変えることで間仕切りがなくとも空間を切り替える役割をしています。40cmという高さは、階段2段分・椅子の高さとほぼ同じなので色々な使い方ができます。部分的に床下収納も作れるし、腰をかけるのにも丁度いい。猫や犬たちからすれば、潜り込むのにも落ち着く高さ。空間を仕切るだけでなく、人にもどうぶつたちにも使いやすい段差になるでしょう。

ミーティングルームとキッチンは住宅のLDKと同じ役割を体験できるようにします。特にキッチンは“ミニ“になんてしません。キッチンこそ、設計打ち合わせで実際に使い勝手を確認してもらいたい部分なので。上記のプランや模型ではフローリングの線を描いていますが、タイルもいいなと思っています。テラコッタや渋い赤なんかも素敵!フィンランドの巨匠であるアルヴァ・アアルトのマイレア邸の床や福島のホテリアアルトのエントランスの床もすてきですよね!

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そして、隠れたハイライトはミーティングルームです。この場所に踏み入れて初めて、吹き抜け空間を見上げることになります。その吹き抜けから一本のコードがまっすぐテーブルの中心に降り、ペンダント照明(イメージはPH5 か Octo Small 4241 で!)の柔らかな灯が空間を照らします。西側の窓際には可変性のあるベンチ(理想はartekの153A)を並べて。打合せの椅子はいろいろな国のお気に入りを並べたい!(ドムスチェアピルッカチェア・マルニ木工のHIROSHIMAアームチェア などなど)

北側には資料やカタログを並べるため壁一面に本棚を。キャットウォークを連続させることも忘れずに。テーブルで打ち合わせているどの席に座っても、視界の片隅に庭の緑やペンダント照明が入ることは経験上、とてもリラックスできるので話も弾むでしょう。

キッチンの上には設計などの小さな業務スペースを。吹き抜け空間により風がよく通り、デスクからの窓からは建物唯一の南側の開けた空間を楽しめます。これは平家と2階建てのドッキングだからこそ生まれる空間。

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敷地に対して、北東側に建物を寄せ、コンパクトにまとめることでより広い外部空間を確保しました。この場所は設計事務所でありつつも、たくさんの人が立ち寄れる場所です。設計業務だけでなく、フリースペースでは習字教室(私が開きたい!)やフラワーアレンジメントなどの趣味や習い事の地域の人たちの学びの場としても使える。絵や雑貨などの個展や蚤の市など個人の表現の場にもなりうる(コーヒーフェスとかしたい!)。そして夏には、バーベキューや花火もいい。なので庭は、モルタルと土を半々で仕上げたい。最近、手持ち花火やれる場所って無いですよね。近くの子供たちは近所のスーパーや目の前のコンビニで花火とジュースを買って、大人たちはビールなんか買っちゃって中と外で涼みながら夏の夜を楽しむ。壁面に映像を流すのもいいな。楽しそう!

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ある程度の広さがあり、木陰があって、土の柔らかい地面とモルタルの堅い地面の両方がある地域のみんなが使える広場は、住宅街に点々と存在していたらとても楽しい。公園がその役割だったはずなんだけれど、公的な場だからこそ規制がふえてなんだか窮屈に感じてしまう。持ち主がはっきりしたほうが、管理もしやすいしなによりも早く行動に移せる。住宅ではないからこそできる、開き方になる

設計事務所であり、地域の人たちが集まり、それぞれの使い方ができる場としてYö-ユオ-は根付いていきたい。


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