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待て!

ペットショップにインコのおやつを買いに行った。

インコのおやつを選び、手に持ったままインコを見る。

お会計を済ませて行くのはDogのコーナー。

入り口まで来ると、私の好きなフレンチブルドッグのクリームがいるのが見えた。

円な瞳で私を見つめ、硝子越しに飛んで来そうな元気な男の子だった。

元気な理由は、スタッフがお昼ご飯の用意をしていたからだ。

彼は私から目を放し、スタッフの動きを注視している。

私は「もうすぐ順番が来るよ」と小さな声で彼に言った。

スープみたいなものが入った器とカリカリとしっとりのあいのこの様なフードの2種類が彼の前に置かれ、もう彼は私を見ることなく、ご飯に集中だ。

もう、私の方は見向きもしない。

ご飯を待ってる時の「心細そうな」「不安な」表情が切なかった。

犬の芸に「待て❗️」がある。あれって残酷だと思う。

去年、入院した時、子供の頃、学生の頃のトラウマを思い出して心を病んだし、今も何だかおかしい。

夕食の配膳の時「私のだけ無かったら」「私だけ忘れられていたら」と布団にうずくまったりした。食事が済んだら「本当に下げに来てくれるの」と不安になり、自分で返しに行ったりした。

休日明けの病院。待合室の混雑で、長く長く待たされて動悸がして来て苦しくなって、診察を受けずに途中で帰って来てしまった。

楽しいことを待つのは楽しい気持ちで待てたのに、あの入院以来「待つ」ことが怖くなってしまった。

まだ、生まれたばかりのフレンチブルくん、何処かのお家で幸せになっせおくれ。

凄く可愛い坊やだったけど、398000円とお値段は可愛く無かったな。

バイトの時給、犬の値段、数字が存在の価値になる。

もう、待てない。


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