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助けてもらっていたことに2年越しで気づいた話

個人的なことを書くので読んで居心地の悪い思いをする人がいたら申し訳ないのだが、私は2019年の暮れに離婚している。年が明けるまであまり周りに知らせていなかったのだが、年末年始の挨拶のタイミングで実はかくかくしかじかで、と伝えていた。

折しも2020年の初頭、感染が広がりつつあるという時期で、私にとって離婚直後でこれからどうしよう、フリーランスで翻訳をしていたけれどフルタイムでどこかに勤めたほうがいいだろうかどうしようかと、いろいろ考えていた時期であった。

恩知らずなことに当時からおよそ2年経って今頃気づいたのだが、当時私の離婚のことを知って久しぶりだねといって仕事を持ってきてくれた人がいた。そういう人たちが実は複数いた。ありがとうございます、今ちょうど空いていますよといって引き受けた。

そしてそうやって仕事をしているうちに、他の顧客からの仕事も来て毎日がだんだん、また仕事のスケジュールで埋まっていった。

結局フルタイムでどこかに働きに出ることもなく、現在もなおフリーランスとして翻訳の仕事を在宅で続けている。

あの時そうやって仕事を持ってきてくれていた人は「(離婚して)大変そうだから助けてあげるよ」とか「仕事を持ってきてあげたよ」とは一言も言わなかった。ただ普通に、ビジネスの相手として私のことを扱ってくれて、仕事を出してくれて、私が納品したらありがとう助かったよといって翻訳料を支払ってくれた。

その時はそれで何とも思っていなかった。

しかし、最近翻訳の仕事をいかに売っていくかというマーケティングについて学ぼうと思っていて、『「顧客消滅」時代のマーケティング ファンから始まる「売れるしくみ」の作り方』という本を読んだ。そこにはコロナ禍で客足が遠のいてしまっている業種がたくさんある中で、顧客を失わなかった店や事業の事例がたくさん紹介されていた。

卵がたくさん余ってしまって顧客に助けてくださいと救いの手を求めたらたちまち売れてしまった話とか、緊急事態宣言で営業時間を短縮されたりお酒を出せなくなったりしても常連客にデリバリー商品などを買って助けてもらったりした事例が出ていた。

顧客との信頼関係ができていて「ファン」がいる店は厳しい状況下でも生き残れたという話をいくつか読んでいくうちに、ふと2年前のことに思い至った。

もしかして、わたしが「離婚しました」ということを伝えた後に仕事を持ってきてくれたあの人たちは、私のことを助けるために仕事を持ってきてくれたのではなかったのか。みんな、私の大切な友人や知人で、私がこれからしっかりと生きていけるように応援してくれる気持ちがあってそうしてくれたのではなかったのか。そう考えたら涙が出た。

人とのつながりって素晴らしいな、と改めて思った。

きっと彼らは2年経って今さら「あの時はありがとう」などと言われても照れくさがるだろう。そういう人たちだ。だからここをもし見ていたら改めて言わせてください。ありがとうございました。気づくのが遅くなってすみません。

コロナが落ち着いたら、近いうちに飲みに行きましょう。

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