ゲー選かけ流しvol.16 『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』
ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。
今回は『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』(以下、『ファミコン世界大会』)。
ファミコン40周年締めのタイミングで発売された本作の特徴について語っていく。
<筆者の『ファミコン世界大会』プレイ状況>
・タイムアタックの全ステージAランククリア
・世界大会(一般/エリート)優勝
・バッジ全種類取得
・プロフィールアイコンは今後継続的に取得予定
タイムアタックに特化したショート競技の詰め合わせ
まず最初に、本作の各種モードについて説明していく。
<タイムアタック>
任天堂発のファミコンソフトのうち13タイトルについて、さまざまなシーンを切り取って「競技」とし、タイムアタック形式で遊ぶモード。収録タイトルは下記の通り。
・スーパーマリオブラザーズ
・ゼルダの伝説
・メトロイド
・ドンキーコング
・光神話 パルテナの鏡
・スーパーマリオUSA
・エキサイトバイク
・アイスクライマー
・バルーンファイト
・スーパーマリオブラザーズ3
・リンクの冒険
・スーパーマリオブラザーズ2
・星のカービィ 夢の泉の物語
タイムアタックの成績によってC<B<A<Sとランクが決まり、ランクに応じたコインがもらえる。コインは新しい競技とプロフィールアイコンの開放に使用するため、多いに越したことはない。
各競技でAランク以上を取るとバッジが手に入るため、まずはこちらを目標にタイムを縮めていくのが良いだろう。ランクSは競技によっては非常にシビアなタイム設定となっているため、長い目でやり込む事をおススメする。
<世界ランキング大会>
タイムアタックモードの中から5種目の競技をピックアップし、毎週全世界からプレイヤーの記録を収集するランキングモード。一週間の開催期間中に自己ベスト記録を更新すれば何度でもデータを上書きできる。限界に挑戦すべし。
集計期間が終わると、自分の世界ランキングとランキング上位何%かが分かるようになっている。うまれ年ランキングもあり。バッジの獲得条件にも絡むため、可能な限りタイムは詰める方が良い。
<サバイバル大会>
タイムアタックモードの中から3種目の競技をピックアップし、世界中のプレイヤーのゴーストデータとサバイバル対戦を行い、優勝を目指すモード。大会は3回戦で行われ、8人⇒4人⇒2人と絞り込まれていく。
大会は「一般」「エリート」と分かれている。こちらもバッジの獲得条件と絡むため、エリート大会での優勝を目指して修練を積んでおきたいところ。
以上、3つのモードは全てタイムアタックに特化しており、本作のゲーム性は非常にストイックである。RTAの動画配信など、現代のトレンドにも合ったスタイルと言えなくもないが、タイムアタックに全く興味の無い人にとっては相性が良くない作品かもしれない。
偏りが大き過ぎる13タイトルの競技群
ゲームは13タイトルあるが、競技の数・取り上げられるシーンにはタイトル間・タイトル内で大きな偏りがある。タイムアタックとしての競技性を重んじるためと思われるが、結果としてゲーム本編の楽しみどころが表現しきれていない作品もある。
たとえば「アイスクライマー」の場合。本作は競技数が少ない上にモチーフのステージが1面に閉じており、アイスクライマーのゲーム本編(全32面)における様々なステージギミックを堪能する事ができない。
一方、競技数が最も多いのは「スーパーマリオブラザーズ3」になるが、こちらはクッパJr.とのボス戦が多く、こちらも競技の内容に偏りが見られる。
本作はあくまでファミコンのゲームに競技性を持たせた新しい娯楽の一つであり、ゲーム本編の魅力を追体験するためのものではない
と、筆者は考えている。
本作を遊んでゲーム本編も気になった、という効果を期待しているようには見受けられない。収録タイトルのプロモーションという位置づけではなさそうだ。
強いて言えば『TETRIS99』と同じく、Nintendo Switch Onlineを継続してもらうためのインセンティブとしての役割ではないかと考える。
おわりに
『ファミコン世界大会』は、かつてWiiU/3DSでリリースされた『ファミコンリミックス』シリーズに通じるUIやランクシステムを踏襲している。
一方ゲーム部分は原作を忠実にトレース。ゲーム本編のうち競技性を持つシーンを切り取った内容となっており、スプリント競技をひたすら周回していくようなプレイフィールを提供している。
タイムアタックに全振りしている非常にストイックなゲーム性であるため、繰り返しプレイを促すための工夫(コイン集めによるステージ・プロフィールアイコン開放)でゲームの寿命を延ばすための配慮も見られる。
ファミコンソフト・RTA文化に対する興味がある事が前提であるため、ややニッチなソフトとは言えなくもない。とは言え、1チャレンジの時間が非常に短いため「もう一回!」が止められない中毒性の高いゲームに仕上がっている。
良心的な価格である事もあり、気になるのなら思い切って購入する事ををおススメしたい。気軽に買って気軽に遊べ、しっかりやり込める良作だ。
本作を一言で言い表すならば、
「スプリント競技に特化したファミコン専用スタジアム」
である。
発売間もないソフトなので、今後何かしらの動きがあるかもしれない。そんな期待を持たせてくれる作品だった。
本作の選評は以上。
次回もよろしくお願いします。
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