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ゲー選かけ流しvol.17 『LIVE A LIVE(リメイク版)』(前編)

ゲームの選評を気の向くままにチビチビとかけ流す、ぬるま湯スペース。今回は『LIVE A LIVE』。

原作が発売から30周年のメモリアルイヤーという事もあり、2年前に発売されたゲームではあるものの、ちょうど良い機会なので『LIVE A LIVE』のリメイク版の魅力について前・後編で語っていきたい。

<筆者の『LIVE A LIVE』プレイ歴>
・3DSのバーチャルコンソールで初プレイ、クリア済み
・リメイク版はSwitch版でプレイ、クリア済み
・やり込みはリメイク版でアイテム収集を中心にプレイ
・プレイ時間は原作20時間強、リメイク版30時間強


振れ幅が非常に大きいオムニバスRPG

今回の前編では、本作最大の魅力となるそれぞれのシナリオについて特徴を整理しておく。見出しの通り、RPGのシステムは共通でありながら、シナリオによってまるで別ゲーと感じられるような差別化が図られており、これが本作を語る上で欠かす事のできない魅力の一つとなっている。

<原始編>

  • サブタイトル:『接触』

  • 原作キャラクターデザイン:小林よしのり氏

  • 代表作:『おぼっちゃまくん』『ゴーマニズム宣言』他

石器時代、まだ言葉が存在しない時代を描く原始編。
コミュニケーションはふき出しの絵文字や身振り手振りで行われ、ある種サイレントコメディを見ているような感覚を楽しめる。

セリフが無くても理解できるストーリーであるよう、
構成に配慮がなされている。

原始人の少年ボゴが別の部族の少女べると接触し、恋に目覚めるところから物語が動き始める。王道寄りのストーリーで、言葉による意思伝達ができない設定ながらストーリーは非常に明快。

RPG部分は程よいバランスで、合成で色々なアイテムを生成しながらパーティの強化を図るスタイルが面白い。なお、ゲーム中最凶のドロップアイテムを入手できるのも原始編である。

本作最強の公式チートアイテム。JRPGの歴史の中でも
極めて稀なレベルのバランスブレイカー。

<幕末編>

  • サブタイトル:『密命』

  • 原作キャラクターデザイン:青山剛昌氏

  • 代表作:『YAIBA』『名探偵コナン』他

悪の大名に囚われの身となった、とある人物を救出するべく密命を受けた若き忍者おぼろ丸の活躍を描く幕末編。

死して屍拾う者無し。
忍の世界の雰囲気がしっかりと味わえる。

要人が囚われている場内は様々な仕掛けと番人が居て、忍らしくステルスアクションのように戦闘を必要最低限にするもよし、RPGらしく視界に入る敵は全て斬り伏せるも良し。プレイヤーの自由に委ねられているのが特長。

0人斬り又は100人斬りを狙ったり、敵からワザを習得したり、隠しボスからレアアイテムのドロップを狙ったり、はたまた任務を放棄して抜け忍になったりと、やり込みの幅は非常に広い。基本7シナリオの中では最も周回し甲斐のある作りに仕上がっている。

0人斬りも100人斬りも、やり込みに応じた
ご褒美がある。当時のスクウェアらしい
全方位に配慮を感じる作りが嬉しい。

<功夫編>

  • サブタイトル:『伝承』

  • 原作キャラクターデザイン:藤原芳秀氏

  • 代表作:『拳児』『ジーザス』他

歳をとり、自身の寿命が迫っている事を悟った心山拳の師範である老師。
彼が心山拳を次代に伝承するため、三人の若者レイ・サモ・ユンに稽古をつける事となる功夫編。

レイ・サモ・ユンはそれぞれ問題を抱えた若者。
彼らを正道へと導く老師の人となりが際立つ。

誰に最も多くの稽古をつけるかによって、伝承者とその後の展開が分岐する形式となっており、やがてストーリーは衝撃的な展開を見せる事となる。

レイ・サモ・ユンはそれぞれ個性的な能力を持っているため、誰に心山拳の奥義を伝承するかがプレイヤーの悩みどころと言える。

シナリオ中盤の急展開。から終盤にかけての
アツい展開が見どころ。

<西部編>

  • サブタイトル:『放浪』

  • 原作キャラクターデザイン:石渡治氏

  • 代表作:『B・B』『"LOVe"』他

凄腕のガンマンである賞金首サンダウン・キッドが荒野の町サクセズタウンへと放浪するシーンから始まる西部編。

本作で一番ハードボイルドな男、キッド。
シブい。シブすぎる。

キッドを執拗に追い続ける賞金稼ぎマッド・ドッグと一時的に共闘し、サクセズタウンを襲撃するクレイジー・バンチを撃退するための罠を張る事となる。

鐘の音が8回鳴るまでにできるだけ多くの罠を仕掛け、O・ディオ率いるクレイジー・バンチのならず者たちを1人でも多く戦線から離脱させるのがポイント。罠の成否で決戦の難易度が変わる、独特なシステムとなっている。

罠を張りそこなうと、画面上を覆い尽くすほどの
クレイジー・バンチ達を相手にする事になる。
リメイク版ではしっかりと対処しました。

<現代編>

  • サブタイトル:『最強』

  • 原作キャラクターデザイン:皆川亮二氏

  • 代表作:『スプリガン』『ARMS』他

主人公の青年、高原 日勝があらゆる格闘技を取り入れて最強の格闘家を目指す姿を描く現代編。

SELECT YOUR CHARACTER!な画面。

他のシナリオにあるRPG的なフィールド移動が一切なく、格闘ゲームのように最低限のストーリー描写と戦闘のみ。オムニバス形式の特徴を活かした割り切った作りとなっている。

格闘ゲームの構成をRPGにバッチリ落とし込んでいる。

ただ対戦相手を倒すだけでなく、相手の必殺技をラーニングする事で技を習得するのが攻略のポイントとなる。相手のワザを受けて勝つ、プロレス的な立ち回りが求められるシナリオ。

現代編でラーニングするとしたら何はなくとも痛打。
原作では本当にお世話になりました。

<近未来編>

  • サブタイトル:『流動』

  • 原作キャラクターデザイン:島本和彦氏

  • 代表作:『炎の転校生』『アオイホノオ』他

超能力を持つ少年アキラは日々ケンカに明け暮れる荒れた日々を送っていた。そんな彼の住む町で人が次々と行方不明になっていく事件が発生。事件の背後に潜む大きな野望を阻止するためにアキラが活躍するというストーリーの近未来編。

超能力を活用して情報を得るのが近未来編の特徴。

王道の熱血アニメを彷彿させるアツい展開で、人類を「流動」化しようと画策する黒幕の計画を阻止するべく、巨大ロボット「ブリキ大王」を動かすためにアキラが奮闘する姿が見どころ。

近未来編を象徴する名台詞。とにかくアツい展開が多い。

ゲーム的にはアキラの超能力で人の心を読んでさまざまな情報を収集したり、アイテムをパワーアップさせる改造で装備を整えたりできる。RPGのやり込み要素としては程々にまとまっていて面白い。

一番の特長は近未来編の主題歌「GO! GO! ブリキ大王!!」がボーカル付きになったこと(歌:影山ヒロノブ氏!!)。これだけで近未来編を遊ぶ甲斐があると言っても過言ではない。

何だこの力の入れようは…!

<SF編>

  • サブタイトル:『機心』

  • 原作キャラクターデザイン:田村由美氏

  • 代表作:『BASARA』『ミステリという勿れ』他

作業用ロボットである主人公キューブが、宇宙船の中で起きる様々なトラブルに直面。乗組員たちの関係性に触れ、機械を通じて人の心を覗き見る事になるSF編。

コールドスリープから乗組員が目覚める辺りが
実にSFチック。

全シナリオ中最も戦闘が少なく、アクションアドベンチャーに近いスタイルでストーリーが進行していく。乗組員がトラブルに見舞われて命を落としていく様子はパニック映画のような寒々しさを感じる。

脱走した地球外生命体ベヒーモスから逃れるなどのステルスアクション要素もあり、緊張感という意味では随一のシナリオである。

ベヒーモスに追いつかれると問答無用で終了。

上記7つのシナリオをクリアすると「中世編」が開放される。

<中世編>

勇者が魔王を倒し、平穏な日々を送っているルクレチア王国を舞台とする中世編。

王道JRPGな展開。…ここまでは。

主人公の剣士オルステッドは御前試合で優勝し、王女アリシアに求婚する権利を獲得するのだが、蘇った魔王によってアリシアは連れ去られてしまう。オルステッドはライバルであり友である魔法使いストレイボウ、かつての勇者ハッシュ、僧侶ウラヌスと魔王が居る山へと向かうのだが…。

人に絶望し心を閉ざしたかつての勇者ハッシュ。
今のルクレチアを支える勇者オルステッドとは
一見対照的に映るが…?

今までで一番オーソドックスな中世ファンタジーRPG形式で展開される中世編だが、中盤からの急転直下のストーリー展開で、発売当時のプレイヤーを震撼させたという。

各々の人物が自分の心に正直に行動した。
ただ、ほんの少しのボタンのかけ違いがあった。
それが、取返しのつかない悲劇を生む。

中世編を含む8シナリオをクリアすると「最終編」が開放される。

<最終編>

ストーリー上は魔王によって召喚された主人公達が魔王と対決する形になるのだが、
・選択した主人公
・最終編での主人公の行動(主に魔王と主人公達の対決においての行動)
によってエンディングが分岐するマルチエンディング形式となっている。

最終編で選んだ主人公が本作の決着をつける事となる。

ネタバレは極力抑えたいのでこれ以上の言及は避けるが、様々な装備・アイテムが手に入る事もあり、RPGとしてのやり込み要素は一番幅が広く、懐が深い。最終的にゲームをやり込む場合は最終編を遊び尽くす事になるだろう。

最終局面の難易度はかなりのものなので、
必然的にある程度の育成とやり込みが必要となる。

おわりに

各シナリオについて説明したところで十分なボリュームになったため、今回はここまで。
後編ではゲームのシステムについての特長と、リメイク版による改良点の説明、本作の更なる魅力について語っていきたいと思う。

後編でも触れるが、未プレイのプレイヤーさんには
強くオススメする。掛け値なしに名作。

前編は以上。
後編もよろしくお願いします。

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