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【続・へなちょこライダーが行く!Web版】あとがき

 今、心からホッとしています。
 この旅を走り始めた当初、旅行記を書くつもりはありませんでした。運転だけでもけっこう疲れる眼。完治するまで、負担になることはなるべく避けなければと思っていたからです。
 ところが一日走って、
「あぁ、書けたらいいのになぁ」
三日走って、
「書いたらダメかな……」
五日走って、
「何としても書きたい!」
と、思いは日に日に強くなっていき、ついに日記をつけ始めてしまいました。
 私をそこまで突き動かしたのは、九州の美しい自然もさることながら、旅先で出会った人達の、何とも言えない温かさでした。助けられたり、励まされたり、和まされたりしているうちに、このままでいいのだろうか? 何かお返しができないものか……、という気持ちに駆られるようになりました。そして、私ができるのはもう書くことしかない! と思ったのです。
 家に帰り、眼と相談しながらの執筆が一ヵ月半続きました。多少無理もしましたが、どうにか無事書き終えられたこと、お世話になった方への心ばかりの恩返しを果たせたことに、とてもホッとしているのです。
 とは言え、制作に当たっては、性懲りもなくまたたくさんの方のお力を借りました。写真掲載を快諾してくださった九州の方々、文章にアドバイスを下さった方々、途中でくじけそうになった私の背中を押してくれた友人、いつも寛大に(諦めの境地で?)見守ってくれる家族に、心からの感謝を伝えたいと思います。
 そして何より、読者の皆様に心からお礼申し上げます。前作の北海道編に続いて懲りずに読んでくださったお得意様には、なお感謝です!
 人生、「日々成長」とは言うけれど、前進しているかもわからないような積み重ねの末に、明るい兆しがほんの少しだけ見え隠れする……、そんな気の遠くなるようなこともあるのだと、この歳になってようやく思うようになりました。この旅行記は私にとって、そんな先の見えない日常の中に覗いた、かすかな光です。
 この本が、日々頑張っている皆様にささやかなエールを送れる一冊であったら幸せです。

2005年5月23日   小林 夕里子

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