派手な活躍よりも、小さくても絶え間ない活躍を見たい

コブ山田です。ようこそいらっしゃいました。

今回は、即戦力ルーキーへの期待のかけ方について、記します。

2023年より、プロ野球中日ドラゴンズにて福永裕基選手がプレーしています。天理高校、専修大学を経て日本新薬にてプレーしていましたが、2021年に三菱重工Westの補強選手に選ばれます。その際にヘッドコーチを務めていた人物が小田幸平。小田は2022年に中日のバッテリーコーチに就任し、福永の獲得を推薦します。

福永は2022年ドラフトでは支配下で最後の選手でした。ただ、2016年ドラフトにおいて、(セ・リーグというくくりはつきますが)支配下で最後の選手は横浜DeNAベイスターズのキャプテン佐野恵太です。指名の順番は戦略的な要素もあり一概に優劣を示すとは言えないと言えます。重要なのは、本人の取り組みと巡り合わせ次第です。

その福永ですが、同年のドラフトで村松開人、濱将之介、田中幹也も同時に指名されており比較されやすいライバルが多い状態でのキャリアスタートとなりました。実際に村松、田中も福永とともに1軍キャンプスタートであったので、指名順位を含めるとこのふたりの期待値の方が上回ったように思います。

しかし、村松は膝、田中は肩を故障してしまい戦線離脱。特に田中は長期離脱となってしまいました。一方で福永は故障することなく、バンテリンドームナゴヤでのオープン戦にてホームランを放ちアピールします。守備面でも、及第点以上の評価です。

そうして03月31日(金)、東京ドームでの開幕戦。7番バッターには福永が座ります。守備位置はセカンドでした。阿部寿樹が東北楽天ゴールデンイーグルス、そして京田陽太が横浜DeNAベイスターズにそれぞれ移籍し誰が二遊間を守るのかふたを開けてみないとわからない状態でしたが、無事是名馬。まずは龍空、福永と滋賀県出身のふたりがリードしたのでした。

その後、福永は安定したパフォーマンスを見せます。龍空が打撃不振になり、代わりに実戦復帰した村松が1軍に合流するも、中日のスタメンには高頻度で福永の名前が載る状態です。05月03日(水祝)にタイムリーエラーをしてしまい敗戦の大きな要因になってはしまいましたが、それまでが0でした。前半戦終了前の段階では村松にスタメンを譲る機会が増えレギュラー1番手ではない状態ではありますが、期待値以上の活躍を見せていると考えます。

私は、この期待値以上の活躍を見せているゆえの問題を見ました。打順繰り上げの是非です。中日打線も得点力不足が改善されているとは言えない中でスタメン出場を重ねている福永への期待が高まり、6番までがほとんどの福永を2番に固定してはどうかというものです(5番起用の試合もありましたが少数です)。

この意見に慎重になる人は、05年前のできごとが頭にあるはずです。前年03月31日(金)東京ドームでの開幕戦にて7番ショートで出場してからスタメン出場を続け、新人王を獲得した京田陽太は02年目以降は上位打線を打つ機会が大きく増えました。しかし、順調に成長し打率.300以上の活躍を見せるのかと思いきやそうではなかったのです。中日時代のキャリアハイは新人王を獲得した2017年の打率.264、149安打。02年目以降、京田の打撃に対する不満の声も小さいものではなくなってきていました。

私の推測ですが、福永の上位打線繰り上げに慎重になるのは京田の二の舞を見たくない面もあるものかと感じています。ただ、この時の京田は、お気の毒なことにちょうど外に比較されやすい選手が存在し、そのことも厳しい声が飛ぶ一因だったのではないかとも考えています。

パ・リーグ埼玉西武ライオンズの源田壮亮です。2016年、中日はショートを守れる若い選手が必要な状態であり、ドラフト2位で日本大学の京田陽太を指名しました。同様に埼玉西武もショートのレギュラーを固定できず、ドラフト3位でトヨタ自動車の源田壮亮を指名しました。

中日、埼玉西武ともに即戦力のショートを獲得することに成功し、2017年の開幕戦から起用が重なり京田、源田が揃って新人王を獲得したのでした。ただ、源田の方が京田より打率が高い状態です。2022年終了時点での通算打率は源田の.272に対して京田は.246。源田もルーキーイヤーのデビュー戦こそは9番でしたが04月中旬には2番に定着していました。埼玉西武のコーチを務めていた橋上秀樹が、源田は求められていることを理解してプレーしていると評しています。適性・実力があることを示してからの起用でした。

その後、源田の出場記録を見てみると9番を打つ試合もあるものの2番ショートでのスタメン出場が多数となり、2023年のワールド・ベースボール・クラシックにも選ばれています。同じ時期、京田は中日での折り合いの悪さが一因となり不振に陥りトレード通告もされてしまっただけに、明暗がはっきりと出てしまったように感じます。

福永の場合は横での比較ではなく縦での比較、キャリア初期の京田との比較になりますが、上位打線での起用に慎重論が出るとともに、京田以上の打撃成績が期待されることが必然になります。22歳でプロ入りした京田に対し、福永は26歳でプロ入りしていますのでなおのことです。

私は、福永の上位打線起用は慎重に行ってほしい立場です。中日時代の京田には気の毒な感情を持っていただけに、福永に実力がついてきたことがわかってからでいい。立場が人を作るという考えもありますが、立場を務められる実力が確認できてから、にも一理あります。もちろん、福永が岡林と上位打線を構成できるようになると打席の左右を分けることができるようになるメリットも大きいので、ぜひそうなってほしいとは思います。

京田は物足りない面もありつつも安定した守備を見せていました。それ以上に源田は特殊例と言っていい存在です。縦の比較で京田以上の活躍を見せることができても、その後は井端弘和(荒木雅博も?)はこうだったーという論調になってきます。歴代のショートの先輩方との比較がついて回り、何年も育成に時間をかけられる選手ではありません。

ただ、地に足をつけて安定的なパフォーマンスを見せ、内野手のレギュラーの地位を確固たるものにしていってほしい。福永にも、福永ならではの、後悔のないプロ野球選手生活を過ごしていってほしいです。

ありがとうございました。

サポートいただければ、本当に幸いです。創作活動に有効活用させていただきたいと存じます。