とある珍獣の逢引行路 Vol.001

コブ山田です。
ようこそいらっしゃいました。

今回は、デートメモリーについて、記します。
その第001回目です。

「よしっ!目元いい感じ!」

私はよく眠れて朝を迎えた。寝不足は避けなければならず、早めにベッドに転がり込んで成功だった。
トーストにブルーベリージャム塗っただけの朝食を済ませたあと、洗面所で歯磨きして気合入れてメイク。
終わると、やはり普段より色合いがいい感じに見える。思わず笑顔。
今日はグレーのダッフルコートにグリーンのニットワンピ。もう楽しみで仕方がない。

そうは言っても寒い12月17日、金曜日とは言え18時前まで仕事に変わりはない。
いつもの通り、国分寺から電車に揺られ四ツ谷へ。

他社さんだけど同じビルで働くマサヤさんからイタリアンの誘いをもらい、私はもう宙に浮いた気分だった。
場所は品川と、意外なセレクト。12月だしいい感じなんだろうな。

そうして仕事もトラブルなく終わり、品川へ…なんだけど現地集合。
確かに、私もビル出たところからふたりで歩いてるの見つかったらちょっと恥ずかしいかも。

品川駅の駅ナカのタミルズで休憩し、18:50に時計台へ。マサヤさんがいた。

「お疲れさまですー」
「どもどもこちらこそ」
「問題なかったですか?」
「ないですよ」

並んで歩き始める。

連れて行ってくれたお店は、アトレ品川のAW55というお店。

予約してくれたみたいで、テーブル席へと座る。
ネイビースーツのマサヤさん男前…と思わず瞠目してしまう。

まず白のシャンパンで乾杯したあと、マサヤさんはサーモンのクリームソースパスタ、私はきのこのクリームソースパスタをオーダー。
あとは鶏モモグリルとバーニャカウダも頼んでシェア。

料理もおいしいし、この時期に誘ってもらえるってうれしいなーと思いつつ、仕事や日頃の話に花が咲く。
私の好きな音楽の話は、楽しそうに聞いてくれた。
どうして私なんだろう?という疑問は消えないけど、やっぱり楽しいから気にならない。

最後にアイスクリームも食べて、02時間ほどの時間は終了。全額おごってもらうのは悪いから少し出したけど、多めに払ってもらった。ごちそうさま。

アトレのエスカレーターを降りて、改札口に向かう時も、私はちょっと期待していた。
これで終わりじゃないよね?品プリのバー行く展開とかないかなーと思っていた…けど、え?

ここでお別れ?

マサヤさんはこのあと恵比寿の方に行くみたい。私は東京駅から中央線で帰宅コース。
改札を入り、山手線のホームで少し話して、先に来た外回り電車にひとり、マサヤさんは乗って行った。

12月の週末にこうやってごはん、いやデートって言っていいよね?行けたのはうれしいけど、やっぱりちょっとした夢みたいなものが叶うと物足りなくなっちゃうのかな?ちょっと渋い顔で私も電車に乗り込む。

山手線で東京に着き、中央線のホームに行くべくエスカレーターに乗ろうとしたら、見覚えのある人物が。
同僚のイズミ。びっくり。さっきまでデートだとかそんなこと言えない。

「何やってんの?」
「大学の友達とさっきまで有楽町でごはん」
「そうなのーなのにやけに今日気合入ってんじゃん?そのワンピとか」
「そんなことないって」
「ふーん、今から帰るの?気をつけてね」

ずいぶん慌てて思いっきり嘘までついたが、イズミにそんなことは言えない。
だって、マサヤさんと他でどんなつながりあるかわからないし。同僚ではあるけど、親友というほどでもない。

ちょうど通勤快速が入ってきて、座ることができた。気にしない気にしない…と言っても仕事の疲れもあって眠気がある。御茶ノ水ぐらいからちょっと寝て起きたら中野だった。大丈夫。

国分寺で降りて帰り着いても、ごはんだけで終わっちゃったマサヤさんだけじゃなく、イズミのあの顔も引っかかる。

メイク落としてお風呂入って、適当にテレビつけて見て寝たけど…。マサヤさん、私のことどう思ってるんだろう…?
これからどうなるんだろう…

ありがとうございました。

サポートいただければ、本当に幸いです。創作活動に有効活用させていただきたいと存じます。