見出し画像

愛は宇宙を越えるのか?

夜。空を見上げると、無数の輝く星が目に入ってくる。その光は、はるか彼方、何百キロも何光年も離れた、気が遠くなるほど遠い宇宙から届けられている。

僕らはその小さな光を眺めながら、祈りに近い思考を繰り広げる。そこには何がいるのだろうか?宇宙の彼方では、人間ではない、何か別の生き物がいるのだろうか?

地球外生命は、いや、宇宙人は、きっといる。少なくとも僕は、そう信じている。

***

僕の妻は、おそらく宇宙人ではない。今のところ、そのような驚きのカミングアウトはされていない。日本で生まれ、日本で育ち、日本で僕と出会って恋に落ち、結婚した。はずだ。

でも、僕は、そういう想像を繰り広げずにはいられない。愛が、宇宙を超える瞬間。すなわち、僕たち人間が、宇宙人と恋に落ちる日についてだ。

***

小説「GO」では、ヒロインの日本人・桜井は、在日コリアンの杉原に心を開いた。そこでは、愛が国境を超える瞬間が鮮烈に描かれていた。

2019年現在、国際結婚は当たり前になっている。僕の親戚にも、日本国籍ではない人と結婚した人がいる。地球という星であれば、もはや誰と恋に落ちても、おかしくはないのだ。

しかし今のところ、宇宙人と恋に落ちたという報告はなされていない。それはまだ人間が、宇宙人に出会えていないということを意味しているのだろう。

***

例えば、30年後。2050年ならどうだろうか。その時には、民間企業での宇宙旅行は普通のことになっていると思う。

ポイントはどこにあるのか?と、考えてみる。宇宙人に出会うための、きっかけとなるポイントはどこにあるのだろう?

宇宙船で旅をした先に舞い降りた星で、宇宙人と出くわす、とか。いや、そんなロマンチックなものではないかもしれない。もしかしたら、出会いの瞬間は戦争になるかもしれない。

宇宙の資源を求めて、地球人と彼らは争いを繰り広げる。ちょっぴり悲しい空想だけど、決して無いとは言い切れない。捕虜となった地球人は、相手の星へと送還され、新しい生活をしていく。

***

空が青いこと。雪が白いこと。そういった地球における常識は、ある宇宙人が暮らす星では、きっと自明ではないのだろう。

その星で、その街で、彼らはどのように恋に落ちているのだろうか。もしかしたら、言葉というものが存在しないのかもしれない。テレパシーでお互いの気持ちを伝え合い、恋に落ちるのだ。

そんな生物と会話をするには、僕たち人間がテレパシーを使える必要がある。でも、どうやって?わからない。何もわからないのだ。手探りで、もがきながら、コミュニケーションをしていく。

そして、留学先で現地の人と恋に落ちるように、人間と宇宙人は次第に惹かれあっていく。

***

2050年。夜、空を見上げると、無数の輝く星が目に入ってくる。

その輝きは、もはや憧れの対象ではなくなっている。すなわち、僕たちはその光の意味を理解し、手懐け、研究し尽くしている。

やがて、自分の子供や孫が、宇宙人と出会い、恋に落ちていく。そういう風にして、愛はきっと、宇宙をも飛び越えていく。

読んでいただきありがとうございました。また、サポートをくださる皆さま、いつも本当にありがとうございます。心から嬉しいです。今後の執筆活動のために使わせていただきます。