妖怪椅子鼠
椅子寿司を食べよう、と友人は言った。
椅子寿司ってなんだ?と思いつつ、僕は用意された椅子に座った。
椅子寿司っていうのはね、と友人は勿体ぶりながら話し始める。
なぜだか、友人の声が耳に入らない。
どんどん、感覚がぼやんとしてくる。
視界がかすむ。
ああ、なんかだめっぽい、僕はそう思うと、椅子の背もたれに身を預けた。
僕の体はそこからなくなっていた。
あるのは、ちょっと太った椅子だけだった。
ははあ、椅子寿司などと言っておいて、僕を 妖怪椅子鼠 のエサにするのが目的だったんだな。
僕はとっくに無くなった体を、妖怪椅子鼠 の胃袋からどうやって引きずり出そうかと、考え始めた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?