【人は”自分の観たい世界”を観ている】
・世界は、自分の鏡である。
・人は自分の観たい世界しか観ていない。
そんな言葉をよく耳にしませんか?
その理由を認知科学・コーチングの観点から簡単に説明します。
1)脳は情報を取捨選択している。本気で働くと餓死する。
2)取捨選択(フィルター)機能”RAS”と”スコトーマ”について。
3)RASは強い感情を伴った記憶(情動記憶)によって働く。
1)脳は情報を取捨選択している。本気で働くと餓死する。
”脳は手抜きが上手”
そう言われたら皆さんどう思われますか?
脳は五感(モーダルチャネル)から情報を取得し、処理することで知覚・認知します。
しかし、五感から得た情報を全て処理しようとすると、人間が餓死してしまうほどのエネルギーを消費してしまうと言われています。
そこで、脳はエネルギーの消費をセーブするために情報にフィルターをかけ”必要な情報”のみを得て処理しているといわれています。
この取捨選択(フィルター機能)の例として、カクテルパーティー効果が有名です。
カクテルパーティー効果とは、音声の選択的聴取 (selective listening to speech)[2]のことで、選択的注意 (selective attention) の代表例である。
カクテルパーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる。このように、人間は音を処理して必要な情報だけを再構築していると考えられる。
※Wikipediaから引用
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C
必要な情報に対しては集中・選択し、それ以外は無視する。
これが情報のフィルター機能の例ですが、実はこれは上記のような特殊な場面で起こっているだけではなく、実は”常に”起きているのです。
2)取捨選択(フィルター)機能”RAS”と”スコトーマ”について。
情報を取捨選択する機能である”RAS”、そしてそれによって生まれる”スコトーマ”について説明していきます。
RAS(網様体賦活系)は、人の脳の活性化ネットワークの事です。
五感に入ってくる大量の情報の中でどの情報を選択するか決定する役割を果たしている、情報のフィルターの様なものです。
スコトーマは、盲点の事です。つまり、RASがフィルターした結果、認知出来ない情報の事です。RASで選択されなかった情報がスコトーマとなります。
脳が全ての情報を選択・認知しようとすると、餓死するほどの莫大なエネルギーを消費してしまう。
それを防ぐためにR A Sで情報を取捨選択し、スコトーマ生み出します。
例えば、上記は心理学では有名な絵ですが、
皆さんは何に見えますか?
あひる・・・?それともうさぎ・・・?
実はご存知の通り、この絵はどちらにも見える絵です。
絵の左半分を”くちばし”と捉えれば、左を向いているあひるですし、”耳”と捉えれば右を向いているうさぎです。
では、質問です。
あひるに見えている時に”同時に”うさぎに見えますか?
うさぎに見えている時に”同時に”あひるに見えますか?
見えませんよね。必ず、片方の見え方になると思います。
うさぎと思えば、うさぎとして情報を得ようとし、
あひると思えば、あひるとして情報を得ようとする。
このように、人間は無意識に自身の”重要性”に応じて情報を取捨選択し、知覚し認知しているのです。
つまり、私たちは物理的現実世界をそのまま観ているのではなく、
自分で無意識にフィルターをかけて世界を観ていることになります。
3)RASは強い感情を伴った記憶(情動記憶)によって働く。
人間は、RASにより”重要かどうか”で情報を無意識に取捨選択します。その際に、脳にとっての”重要性”に強く影響を与えるのが”情動記憶”と呼ばれる”強い感情を伴った記憶”です。
例えば、幼少期に”犬に噛まれた”経験をした人は、脳の中にネガティブな情動記憶が蓄積されます。その結果、”犬は噛むし怖いもの”との信念を形成し、その信念を裏付けする犬に対するネガティブな情報をRASが無意識に集め続ける事になります。
一旦そのような強い情動記憶に裏打ちされた信念を持ってしまうと、逆に犬に対するポジティブな情報(かわいい、人懐っこい)などの情報は、その人にとってはスコトーマ(盲点)になり、中々知覚・認知する事が出来ません。
犬であれば人生の豊かさに与える影響は大きくないかもしれませんが、ここで重要な事は、
”人は過去の情動記憶からできた信念によって、情報が見えたり、見えなかったりする”
という事です。
”自分はダメだ”と思っていたら見える情報はダメな自分ばかり。逆も然りです。
皆さんの脳は何が”重要”だと判断しているでしょうか?そして、何がスコトーマとなっているのでしょうか。皆さんが重要と判断している情報がそのまま皆さんが見えている世界そのものなのです・
ただ、過去の情動記憶に影響を受けて見える世界が変わるからといって、目の前の世界や未来を変えられない訳ではありません。マインドの仕組みを知り上手に使えば、知覚する情報を上手にコントロールする事が出来ます。
次回は、”自己イメージ”と”知覚情報”の関係性について記載します。
[執筆]佐藤光司(Coaching4U認定コーチ補)/[監修]渡邊佑(Coaching4U代表・苫米地式コーチ・TICE式コーチ)
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