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上司と部下の2人をクライアントにして行う2on1コーチング
行う前と後でどんな変化が期待できるのでしょうか?

上司と部下の二人で会話をするとき、物理的な位置関係は「対面」や「隣り合わせ」など、いろいろあると思いますが、「気持ち」の位置関係は「対面」になっていることが多いんじゃないかと思います。

「対面」は衝突の位置関係とよく言いますよね。

ここに第三者のコーチが加わることで、隣り合わせに座り、同じ方向を見た会話ができる。その結果、会話が「お互いの内面を理解するところまで深まり、関係性に橋がかかる」ことが期待できます。

職場で交わされるコミュニケーションの種類

職場において、上司・部下の間で交わされるやり取りの多くは、
以下のいずれかだと思います。
● 上司・部下 双方からの【報告/連絡/相談】
● 上司から部下への【指示】

ただし、同じ会話でも深さはいろいろです。
2on1コーチングでは、上司と部下の会話を深くしていきますが、
その前に、深さの3つの段階(Level)を見ていきます。

Lv1: 過去のフィルターを通して行う会話

部下が報告にきたけど「あー、わかったわかった」と話も聞かずに終わらせたり、「また、要領の得ない報告をしているなぁ…」「いったい何を言いたいんだろう…」と思いながら聞いたり。

上司の立場になったことがある人は経験あるんじゃないでしょうか。
私は経験あります。

これらは、目の前の相手そのものを見ずに、過去の経験というフィルターを通して見ています。

そして、過去のフィルターを通して見る態度は、相手にも伝染します。
上司がフィルター越しに見れば、部下の中にも「この人は話してもまともに聞いてくれない」というフィルターができ、お互いがわかり合えない関係へと進んでいきます。

Lv2: 目の前の相手そのものを見る会話

フィルターを通して見ていたことに気がつくと、次は事実に目を向けられるようになります。では事実には、どのような情報が含まれているのでしょうか?

まずは、言葉があります。
それから、相手の表情や声の速さや大きさもあります。
汗をかいてるとか、息が切れてるとか、最近太ってきたな、とかの視覚情報もあるかもしれません。

これらの情報をキャッチした上で、自分の判断や自分が持っている事実を加えてボールを投げ返すと、会話のキャッチボールが成立します。お互いに「話を聞いてもらっている」「承認されている」感覚を得られ、関係性の溝に橋がかかり始めます。

また、自分と相手が同じ視点から、出来事を見ることができるようになります。「過去のフィルターを通した会話」のときは、自分と相手が対峙した状態(向かい合って座っている)だったのが、「目の前の相手そのものを見る会話」になることで、自分と相手が隣に座って協働して課題に当たる関係に変わっていきます。

Lv3: 相手の視点を借りて行う会話

さらに深い関係性を築くには、自分には見えていない盲点を知る必要があります。盲点とは「自分の行動が相手にどう見えているのか」「相手が自分や出来事をどう認知しているのか」です。
これらは、自分の視点からだけでは見えてきません。相手の中に入り、相手の目と心を借りて見ることで、はじめて見えてきます。

人はロジカルでないところで判断し、動いていることがほとんどです。
相手の視点を借りるというのは、自分に足りていないところを認め、相手をそのまま受け入れる「愛のある関係性」です。
お互いが深いところで分かり合え「愛ある関係」になったとき、新しい協同関係が生まれてくると思います。

2on1で生まれる感情の変化

Lv2 の会話はコーチがいなくても、個人の意識を変えることでできるかもしれません。もしくは、1対1のコーチングを受けることで、相手を受容する力を高めていくことができると思います。

一方、Lv3 の会話は、お互いの自己開示が重要になってくるため、当人同士の1対1では難易度が上がります。よりコミュニケーション力が求められてきます。

Lv3の深さまで会話を掘り下げたいとき、第三者の視点を持ったコーチがいることで、二人だけのときに生まれる衝突を避けることができます。
これが2on1コーチングです。

そしてLv3の関係性を「愛のある関係性」と書きました。
もちろん男女だけでなく、人と人との間にある相互尊敬であり、愛です。
これを私は「2人の関係性に橋がかかる」と言ったりしますが、これが2on1コーチングで期待できる関係性の変化です。

まとめ

別の言い方をすると
「上司と部下の間に愛を育む仲人」それが2on1を行うときのコーチの役割であり、「愛の育み」が期待できることです。


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U理論

今見てきた Lv1 〜 Lv3 の会話の深さは、U理論で説明されている【Downloading】【Seeing】【Sensing】の流れになっています。
U理論とは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のオットー・シャーマー博士が提唱した、リーダーシップ開発やイノベーションを起こすための思考プロセスを明らかにした理論です。

Downloadingは、過去の経験から判断する”偏見ある”とらえ方。
「自分の過去の声」を聞いているとも言えます。

Seeingは、目の前にいる相手そのものを”事実ベースで見る”とらえ方。

Sensingは、相手と一体化し、相手の視線を通して”自分の盲点に気がつく”とらえ方。

U理論は、この後【Presensing】というステージがあります。
「思ってもみなかった可能性のある未来が、突然目の前に現れた状態」
と言えるのかなと思います。

「未来から過去へ時は流れている」とも言えるのかと思います。

*U理論について詳しくはこちら
http://www.presencingcomjapan.org/utheory/

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