【詩】手紙

手紙

たった1人の誰かに向けて
書いた手紙

この世界でたった1人
あなたに向けて
書いた手紙

私からあなたへ向けて
書いた手紙

あなたのことを思い浮かべて
言葉を選び
書いたり消したりし

届けたいことを
届けるために
なんども書き直した手紙

一生のうちどれくらい
あなたに
言葉を届けられるかわからない

たまたま書いたその手紙

一生のうちの
たったこの時
たった数文字

でも
何かを感じて
何かを思い
何かを表し
何かを届けようとした

あなたとの時間

わたしからあなたへ贈る大切な手紙

時に臆病になり
時に自分勝手になり
時に後悔し
時に浮かれて
時に見返りを求めて

それでも
本当は何かを届けるために
書いた手紙

伝わらなくても
その言葉に想いを乗せた手紙

私からあなたへの手紙

届かなくても
そこに私からあなたへの手紙が
ただあるだけ

それでも
手紙は

それだけで手紙なんだ。

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（あとがき）
一生のうちで
どれだけ言葉を紡げるか
最初のうちに
数が決まっていたとしたら
届ける言葉は慎重になるかもしれない。

どうせなら
美しい手紙を書きたい。