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ヒップホップ界のビーフ

暴力は良くない。何か争いごとがあったとしても、暴力を使っての解決は褒められたことではない。だから戦争は良くないし、殴り合いのケンカだって極力避けたいもの。

それじゃあ、暴力以外の方法でのケンカはどうなのか?

最近ケンドリック・ラマー(以後ケンドリック)とドレイクの間に起こっていビーフが、ソーシャルメディアで話題になっている。

ケンドリックとドレークは、2010年代からシーンを牽引するアメリカのヒップホップアーティスト。そんなふたりがビーフ、要するにケンカ、をしている。

ヒップホップ業界のビーフは、相手の事をディスするラップの曲をリリースし合うことで成立する。ちなみにディスとは、相手の悪口を言う事。

アーティスト同士でディスしあう、いわゆるラップバトルはラップという文化の根っこにあるもので。ラップ音楽というジャンルは、バトルにこそルーツがあると言っても過言ではないような気もする。

話が脱線しかけました。

要は、ケンドリックとドレイクはラップという手法で口喧嘩をしている。

両アーティストとも、相手をディスる曲を二週間くらいで数曲発表している。曲の応酬ご続くに連れて、歌詞の内容も過激になって行った。相手自身を罵るだけに留まらず、相手の私生活や家族についてもディスりあっている。

家庭環境、家庭内暴力、隠し子、未成年との性行疑惑など。かなり踏み込んでとこについて曲の中で言及し合っている。まあ、内容の真偽は怪しいようだけれど。

これは、血の流れない言葉の暴力によるケンカ。しかも、両アーティストともユーチューブに曲を発表するもんだから、僕らのような傍観者は大盛り上がり。他人のケンカってのは、大変ジューシーなのである。

特にアーティストふたりが、互いのクリエイティビティを駆使して罵り合っているのだから、ヒップホップリスナーとしてこんなに嬉しいことはない。

しかしながら、こういったビーフが当人たちのキャリアや私生活に多大な悪影響を与えることは間違いない。ビーフがきっかけで暴力沙汰に発展する可能性だって十分にあり得る。

事実、90年代に2PacとNotorious B.I.G.の間に起こったビーフは、両人とも銃殺されるという形で幕を閉じた。ふたりが銃殺された理由が両人間のビーフであったという証拠はないけれど、ビーフが生み出した暴力的なイメージがふたりの死に繋がったのは紛れもない事実だと思う。

音楽を使ったケンカであっても、時としてそれは暴力へと発展して人は殺される。

現に、ドレイク宅でセキュリティガードが撃たれて重症を負う事件が起きてしまった。そしてこの発砲事件は、今回のビーフの影響で起きたと考えてほぼ間違いないと思う。

ケンドリックとドレイクのビーフが暴力的な結末に、ましてや死人が出るようなことに発展しないよう祈るばかりである。

特にマスコミや各種ソーシャルメディアが必要以上にこのビーフを煽っているように見受けるので、当人たちの想い以上に状況がエスカレートしてしまわないと良いな、と思っている。

それにしても、今回のビーフの様にアーティストが連日曲を発表できるなんていい時代になったもんだ。と、ただのヒップホップファンの僕は思うのでした。

これぞ棚からぼた餅。

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