【56】 コーチング・バックワーズ/コーチング・フォワード
私たちは日々、仕事、趣味、勉強といった様々な活動をしています。
そして、程度の違いはあっても、それぞれの活動において「もう少しこうなったら良いのに」という改善を望む気持ちがあるのではないでしょうか?
今回は、そのような「何かを改善したい」ときの上手なマインドの使い方について解説します。
コーチング・バックワーズの弊害
ある分野・活動において改善したい気持ちがあるときは、「ここをもっと良くしたい」という特定の改善したい点があるはずです。
それは苦手に感じていることであったり、あるいは、欠点と思っていることかもしれません。
いずれにせよ、ネガティブに感じている点があるから、改善したいという気持ちが生じるのでしょう。
この改善すべき点、ネガティブに感じている点に注目する従来のコーチングの仕方は、コーチング・バックワーズ(coaching backwards)と呼ばれる方法です。
たとえば、テストや試合でミスをしたときに、「ここでこういうミスをした」ということを繰り返し認識する、あるいは認識させるような方法です。
ミスに注目させるこのやり方は一見良さそうに思えますが、実は、修正すべきミスに注目することによって、「ミスをしている自分」が自己イメージとして蓄積されることになります。
そして、「ミスをしている自分」が支配的な映像(dominant picture)となり、その映像の通りにミスをすることになります。
そのため、修正すべき点に注目することは、直接的な改善にはつながりません。
コーチング・フォワード
では、どのようにすれば改善できるかというと、「改善された状態」のイメージに注目すればよいのです。
改善したいという気持ちの裏には、現在よりもうまくできるという期待や、うまくできている理想のイメージがあるはずです。そのイメージに注目するのです。
ミスに注目するのではなく、ミスが修正されたときの自分の姿を想像し、その映像に注目する方法は、コーチング・フォワード(coaching forward)と呼ばれます。
良い結果につながる正しい映像に注目することで、うまくできている自分が自己イメージとなり、実際の行動もその自己イメージに沿ったものに変化していきます。
改善の仕方
もちろん、ミスや改善点を認識することは重要なことです。
しかし、一度認識したなら、その問題から視線を外し、自分やものごとのあるべき姿に目を向けてください。
そして、そのあるべき姿をイメージし、その時に生じるポジティブな感情を体感することを繰り返すことで、自己イメージが置き換わります。
ミスに注目するのではなく、修正された未来の映像に注目することで、偶然ではなく意図的に自分の望む変化を引き起こすことができます。
ワーク
自分が改善したいと思っていることを一つ挙げてください。
具体的に、どのような点を改善したいと思っていますか?
では、その点が改善された状態はどのようなものですか?
その時の自分の行動や周囲の状況をイメージし、体感してみてください。