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「教えてほしいのですが」を自分の意見の前につけるだけで抵抗なく喜んで話してくれる

「教えてほしいのですが」というフレーズは、相手との対話をスムーズに進めるための非常に効果的な言葉です。この言葉を使うと、相手は抵抗感なく自分の意見を話しやすくなり、こちらの意見を受け入れる心構えもできやすくなります。特に営業や交渉の場面では、相手に安心感を与え、建設的な対話を進めるための大切なアプローチです。

相手のプライドを保ちながら話しやすい雰囲気を作る

誰しも、自分の意見を否定されると、防衛的な姿勢を取ってしまいます。例えば、相手が何か提案をした際に、すぐに反論すると「否定された」という感情を抱きがちです。しかし、「教えてほしいのですが」という一言を加えることで、相手のプライドを守りつつ、意見を引き出しやすい状況を作り出すことができます。

例えば、同僚が「このマーケティング戦略は確実に成功するはずだ」と主張した場合、ただ「それは違う」と言ってしまうと反発を招くかもしれません。しかし、「なるほど、面白いアイデアですね。詳しくないのでぜひ教えてほしいのですが、それを実行するためにかなり初期費用がかかりそうな感じがしますが、実際どれぐらい必要になりそうですか?」と尋ねることで、相手の提案を尊重しつつ、具体的な議論へと自然に導くことができます。

教えるという行為がもたらす心理的優位

「教えてほしいのですが」と頼むことで、相手に「教える」側に立ってもらうことができます。教えるという行為は、人にとって喜びを感じる行為であり、相手が気持ちよく話すための動機付けとなります。このアプローチを取ることで、相手は自分の意見が尊重されていると感じ、さらに対話に協力的になるでしょう。

また、教えることで相手が感じる優位性が、会話をポジティブなものに変えることができます。たとえば、「私もよくわからないので教えてほしいのですが、その機能を追加するとどんなメリットが生まれるとお考えですか?」と尋ねることで、相手は自分の考えを深掘りして話すことができ、そのプロセスで自分自身も納得感を得られるのです。

脳科学的に見た「教えてほしい」の効果

脳科学的に見ても、このフレーズは非常に効果的です。人間の脳は、自己の知識や経験を他人に伝えることに喜びを感じる傾向があります。これは、ドーパミンという神経伝達物質が分泌されることに起因します。つまり、「教えてほしいのですが」という問いかけを受けた相手は、自分の知識を披露することに喜びを感じ、その結果としてポジティブな感情を伴いながら会話を進めることができます。

また、行動経済学の研究でも、自分の意見を聞いてもらうことは自己肯定感を高め、その後の意思決定に大きな影響を与えることが示されています。相手に意見を求めることで、その人が自分の意見に自信を持ちやすくなり、対話がスムーズに進むだけでなく、こちらの提案も受け入れられやすくなるのです。

「教えてほしい」を活用する具体例

ビジネスシーンで「教えてほしい」を効果的に使うためには、以下のようなフレーズが有効です。

  • 「なるほど、そのアイデアには可能性がありますね。教えてほしいのですが、その実現に向けてのステップはどのように考えていらっしゃいますか?」

  • 「面白いご提案ですね。私も詳しくは知らないのですが、その戦略が他のプロジェクトに与える影響について教えていただけますか?」

  • 「その視点はとても興味深いです。教えてほしいのですが、これまでに同様の成功事例があれば伺いたいです?」

これらのフレーズを使うことで、相手が自然に話を続けやすくなり、建設的な対話が生まれやすくなります。

まとめ

「教えてほしいのですが」というフレーズは、対話の中で相手の自尊心を傷つけることなく、むしろ尊重しながら意見を引き出すための非常に効果的な手法です。この一言を加えることで、相手が自ら話しやすい状況を作り出し、対話の質を高めることができます。営業や交渉だけでなく、日常のコミュニケーションでも、ぜひ積極的に取り入れてみてください。


参考:

  • Cialdini, R. B. (2006). Influence: The Psychology of Persuasion. Harper Business.

  • Lieberman, M. D. (2013). Social: Why Our Brains Are Wired to Connect. Crown Publishers.

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