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人は自分の自慢話は大好きだけど、他人の自慢話は大嫌い、上手に聞けばたくさん話す

人は自分の自慢話が大好きです。おそらく、あなたも「こんな成功を収めた」「こんな困難を乗り越えた」という話をする瞬間に、自分自身が誇らしく感じた経験があるでしょう。なぜ、人は自分の自慢話をすることが好きなのでしょうか?その背景には、心理学や脳科学、行動経済学的な要素が深く関わっています。

まず、心理学の観点から見ると、自分を肯定したいという根源的な欲求が関係しています。人は他人に認められたいという欲求を持っていますが、自分の成功や特技を話すことで、その欲求が満たされます。特に、自慢話をする際には「他人に自分の価値を伝えたい」という承認欲求が強く働いています。例えば、友人に「この前、こんなすごいことができたんだよ」と話す瞬間、あなたも相手に自分を認めてもらいたいという気持ちを感じているかもしれません。

行動経済学的な視点では、自己プレゼンテーションという概念があります。これは、自分をできる限りポジティブに見せたいという欲望が行動に現れるというものです。自慢話はこの自己プレゼンテーションの一環であり、他人の目にどう映るかを意識しつつ自分を魅力的に見せようとします。たとえば、職場での成功や、旅行で訪れた豪華な場所の話をすることで、自分の価値を他者に伝え、認めてもらいたいという意識が強く働いています。

脳科学的には、自慢話をすることが脳にポジティブな影響を与えることが知られています。自分のことを話す際には、脳内でドーパミンが分泌され、快感を得ることができます。実際に、自分の話を聞いてもらっているとき、脳は報酬を受け取るシステムが働き、自己肯定感が高まるという研究結果もあります。まるで、体を動かしてエンドルフィンが分泌されるように、心地よさを感じるのです。

なぜ他人の自慢話は嫌われるのか?

一方で、他人の自慢話を聞くことはどうでしょうか?あなたも経験があるかもしれませんが、他人が延々と自慢話をしていると、次第に退屈したり、不快に感じることがあります。特に、自分にとって重要でない分野や、関心が薄い内容だと「また自慢か…」と感じてしまうことが多いのではないでしょうか。なぜ他人の自慢話はこれほど嫌われるのでしょうか?

男性の場合、自慢話が競争心を刺激し、無意識に「マウントの取り合い」になることがあります。例えば、友人が「先日、海外で大きなビジネスディールをまとめた」と自慢していると、自然と「自分もそれに匹敵する成果を出さなければ」と感じたり、時には「自分の方が優れている」という意識が働きます。これにより、相手の自慢話が不快感を呼び起こすことがあります。競争心が過度に刺激されると、相手をライバル視し、話の内容に共感できなくなるためです。

一方で、女性の場合は共感を重視する傾向が強いため、過度な自慢話が共感的なつながりを阻害することがあります。女性同士のコミュニケーションは、共感とサポートが中心になることが多く、相手の自慢話が続くと「私には共感してくれないのかな?」と感じ、関係が薄れることがあります。たとえば、友人が「この前、私の企画が大成功したの」と何度も自慢していると、「私の悩みや苦労には共感してくれない」と感じ、距離を置きたくなることもあるでしょう。

自慢話を引き出すための「あいづち」と共感のテクニック

自慢話を引き出すのは、営業活動において非常に有効です。お客様が自分のことを話せば話すほど、信頼関係が築かれやすく、商談がスムーズに進むことが多いからです。相手が心地よく自慢話をできるようにするためには、適切な「あいづち」や共感の言葉が重要です。

まず、効果的なあいづちは、相手の話に共感を示し、話を引き出す役割を果たします。たとえば「すごいですね!」「それは大変だったでしょうね」「どのようにそれを達成されたんですか?」といった言葉を積極的に使うことで、相手はさらに話をしたくなります。

また、「もっと詳しく教えてください」と興味を持っていることを伝えるのも効果的です。たとえば「その時、どんな工夫をされたんですか?」と質問を投げかけることで、相手は自分の成功体験を詳細に語り始めます。こうした共感的な姿勢を示すことで、相手は自分が認められていると感じ、話を続けやすくなります。

さらに、「私はあなたの話に本当に興味がありますよ」という姿勢を言葉や態度で示すことも重要です。うなずきや表情を使って相手に共感を伝え、「話を聞くことが楽しい」と感じさせることが大切です。こうすることで、相手は心を開き、自分の自慢話を自然と話し始めます。

まとめ

自慢話が好きな理由と、他人の自慢話が嫌われる理由を理解すると、相手とのコミュニケーションがよりスムーズになります。自慢話を引き出すためには、あいづちや共感の言葉を効果的に使い、相手に気持ちよく話をさせることがポイントです。こうしたテクニックを駆使して、営業活動や商談の場で相手の本音を引き出し、信頼関係を築いていきましょう。

参考

  • Tamir, D. I., & Mitchell, J. P. (2012). Disclosing information about the self is intrinsically rewarding. Proceedings of the National Academy of Sciences, 109(21), 8038-8043.

  • Collins, N. L., & Miller, L. C. (1994). Self-disclosure and liking: A meta-analytic review. Psychological Bulletin, 116(3), 457-475.

  • Cialdini, R. B. (2009). Influence: Science and Practice. Pearson Education.

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